海辺にただようエトセトラ

音楽や映画、本の感想をつらつらと。

スパイの妻 劇場版(2020年,黒沢清監督)

2020年6月にNHK BS8Kで放送された黒沢清監督、蒼井優主演の同名ドラマをスクリーンサイズや色調を新たにした劇場版として劇場公開。1940年の満州。恐ろしい国家機密を偶然知ってしまった優作は、正義のためにその顛末を世に知らしめようとする。夫が反逆者と…

行き止まりの世界に生まれて/Minding the Gap(ビン・リュー監督,2018年)

閉塞感に満ちた小さな町で必死にもがく若者3人の12年間を描き、第91回アカデミー賞長編ドキュメンタリー部門にノミネートされた作品。かつて栄えていた産業が衰退し、アメリカの繁栄から取り残された「ラストベルト(錆びついた工業地帯)」に位置するイリノ…

ジェシカ『SHINE』(河出書房新社,2020年 )

K‐POPスターを目指す少女のサクセスストーリー!18歳のアメリカ出身の韓国人のレイチェルは、韓国最大のK‐POPレーベル、DBエンターテインメントにスカウトされ、練習生として厳しいレッスンを受けている。練習生のルールは簡単。24時間・365日トレーニングを…

本気のしるし 劇場版(2020年,深田晃司監督)

「淵に立つ」「よこがお」の深田晃司監督が星里もちるの同名コミックを連続ドラマ化し、2019年放送された作品を劇場作品として再編集したサスペンス。退屈な日常を送っていた会社員の辻一路。ある夜、辻は踏み切りで立ち往生していた葉山浮世の命を救う。不…

ミッドナイトスワン(2020年,内田英治監督)

草なぎ剛演じるトランスジェンダーの主人公と親の愛情を知らない少女の擬似親子的な愛の姿を描いた、「下衆の愛」の内田英治監督オリジナル脚本によるドラマ。故郷を離れ、新宿のニューハーフショークラブのステージに立つ、トランスジェンダーの凪沙。ある…

TENET テネット(2020年,クリストファー・ノーラン監督)

「ダークナイト」3部作や「インセプション」「インターステラー」など数々の話題作を送り出してきた鬼才クリストファー・ノーラン監督によるオリジナル脚本のアクションサスペンス超大作。「現在から未来に進む“時間のルール”から脱出する」というミッション…

ミッドナインティーズ/mid90s(ジョナ・ヒル監督,2018年)

「ウルフ・オブ・ウォールストリート」などの俳優ジョナ・ヒルが初監督・脚本を手がけ、自身が少年時代を過ごした1990年代のロサンゼルスを舞台に、13歳の少年の成長を描いた青春ドラマ。シングルマザーの家庭で育った13歳の少年スティーヴィーは力の強い兄…

ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー/Booksmart(2019年,オリビア・ワイルド監督)

「リチャード・ジュエル」「トロン:レガシー」などの女優オリビア・ワイルドが長編監督デビューを果たし、女子高生2人組が高校最後の一夜に繰り広げる騒動を描いた青春コメディ。高校卒業を目前にしたエイミーと親友モリーは成績優秀な優等生であることを誇…

ルフィのパンチは敵を●さない〜離脱組のONE PIECEへの疑問

ちょっとワンピースに感じていた疑問を記事にしました。 ご意見いただけるとありがたいです。

ハッピーアワー(濱口竜介監督, 2015年)

観たい観たいと思いながらも中々劇場で観れなかった傑作映画を、夏真っ盛りに観たので長文感想書きました。

ガブリエル・ガルシア=マルケス『コレラの時代の愛』(El amor en los tiempos del cólera-1985,木村榮一訳)

ノーベル文学賞を受賞したラテン・アメリカの小説家のキャリア後期の作品。19世紀末から20世紀初頭にわたる内戦につぐ内戦の時代とコレラの蔓延する時代を描いた。

海辺の映画館 キネマの玉手箱

名匠・大林宣彦監督が20年ぶりに故郷・尾道で撮影し、無声映画、トーキー、アクション、ミュージカルと様々な映画表現で戦争の歴史をたどったドラマ。尾道の海辺にある映画館「瀬戸内キネマ」が閉館を迎えた。最終日のオールナイト興行「日本の戦争映画大特…

野田洋次郎の呟きから、色々考える

野田洋次郎の炎上ツイートを見て、いろいろ考えたことをつらつら書きました。

なぜ君は総理大臣になれないのか

2019年の国会で不正会計疑惑を質す姿が注目を集めた政治家の小川淳也を17年にわたり追いかけたドキュメンタリー。2003年、当時32歳で民主党から衆議院選挙に初出馬した小川は、その時は落選するも、05年の衆議院選挙において比例復活で初当選。09年に政権交…

はちどり/House of Hummingbird

1990年代の韓国を舞台に、思春期の少女の揺れ動く思いや家族との関わりを繊細に描いた人間ドラマ。本作が初長編となるキム・ボラ監督が、自身の少女時代の体験をもとに描き、世界各地の映画祭で数々の賞を受賞した。94年、空前の経済成長を迎えた韓国。14歳…

もののけ姫〜エボシ御前考

当時の日本映画歴代興行収入第1位を記録した宮崎駿監督、原作、脚本の劇場用アニメーション作品。舞台は室町時代の日本。タタリ神にかけられた呪いを解くため西方へ旅立った少年アシタカは、人間でありながら神々の側につくもののけ姫と呼ばれる少女サンと出…

石井妙子『女帝 小池百合子』(2020, 文藝春秋)

ノンフィクション作家、石井妙子による現職都知事のドキュメンタリー。 コロナに脅かされる首都・東京の命運を担う政治家・小池百合子。女性初の都知事であり、次の総理候補との呼び声も高い。 しかし、われわれは、彼女のことをどれだけ知っているのだろう…

精神0

ドキュメンタリー監督の想田和弘が「こころの病」とともに生きる人々を捉えた「精神」の主人公の1人である精神科医・山本昌知に再びカメラを向け、第70回ベルリン国際映画祭フォーラム部門でエキュメニカル審査員賞を受賞したドキュメンタリー。様々な生きに…

ミシェル・オバマ『マイ・ストーリー』(集英社ビジネス書,2019)

第44代アメリカ大統領夫人、ミシェル・オバマの自伝。原題は『BECOMING』。 違いを乗り越えて、 人々をエンパワーメントする 生き方とは。 「これは私の話だ!」 前アメリカ大統領夫人の回想録が、 日本でも多くの共感を呼んだ―― 世界45言語、1,000万部突破…

町田康『ホサナ』(講談社,2017)

執筆5年。人間の根源を問う傑作大長編小説。『告白』『宿屋めぐり』に続く、町田康の新たな代表作、ここに誕生! ホサナ。私たちを救ってください。 愛犬家の集うバーベキューパーティーが、全ての始まりだった。私と私の犬は、いつしか不条理な世界に巻き…

舞城王太郎『私はあなたの林檎の瞳』『されど私の可愛い檸檬』(講談社,2018)

舞城王太郎の「新プロジェクト」として2018年に2カ月連続刊行された短編集。2018年10-11月発売。 『私はあなたの林檎の瞳』 ずっと好きで仕方がない初恋の女の子。僕の告白はいつだって笑ってかわされる。でも、今好きなものを次なんて探せない!(表題作)…

古川日出男『おおきな森』(講談社,2020)

東北から南米へ戦前から現代へ時空の森を貫きその列車は疾る 小説家兼探偵・坂口安吾が、疾走した高級コールガールの行方を追う「第一の森」。記憶を持たない男・丸消須ガルシャが乗った列車で不可解な殺人事件が起きる「第二の森」。そして私は小説に導かれ…

古川日出男『とても短い長い歳月』(河出書房新社,2018)

ニップノップのDJが過去作をミックス、縦横無尽に繋がる28作品が巨大な1作を作り上げる前代未聞の文学的企み! デビュー20周年、著者の最高のガイドブック。解説とコメンタリー付き破格のスケールの作品群を発表しながら、現代文学で唯一無二の地平を切り…

古川日出男『ミライミライ』(新潮社)

第二次世界大戦後北海道はソ連に占領、鱒淵いづるを指揮官とする抗ソ組織はしぶとく闘いを続ける。やがて連邦国家インディアニッポンとなった日本で若者四人がヒップホップグループ「最新"」(サイジン)を結成。だがツアー中にMCジュンチが誘拐、犯人の要求…

マーロン・ジェイムズ『 七つの殺人に関する簡潔な記録』(早川書房)/A Brief History of Seven Killings

1976年12月のボブ・マーリー暗殺未遂事件。犯行に及んだ7人は何者で、目的は何だったのか――真相は明かされず、米国の陰謀すら囁かれる事件をもとにした長篇小説。売人やジャーナリスト、CIA局員、亡霊までがうごめく、血塗られた歴史が語られる(https://ww…

アメコミのヒーローを作った男たち–−スタン・リーとジャック・カービーの伝記

今やMCUとDCEUの貢献のおかげ*1で、知らない人はいないほどメインストリームのコンテンツとなったアメコミ映画だけど、その原作と言える「アメコミ」の日本での立ち位置って、本の高級さや大判さも相まって、結構な「オタク趣味」に位置付けられると思う。 …

PS4 『ライフ イズ ストレンジ 2/Life Is Strange 2』(DONTNOD/SE)

フランスのゲームスタジオ「DONTNOD」が開発し、スクウェア・エニックスより発売されたコンピュータゲーム。グローバル版が2018年9月以降に、日本語版が2020年3月26日発売。 『Life is Strange 2』はプレイヤーの選択によって物語の内容が変化するアドベンチ…

ナイチンゲール/The Nightingale

イギリス植民地時代のオーストラリアを舞台に、夫と子どもの命を将校たちに奪われた女囚の復讐の旅を描き、2018年・第75回ベネチア国際映画祭コンペティション部門で審査員特別賞ほか計2部門を受賞したバイオレンススリラー。19世紀のオーストラリア・タスマ…

人間の時間/Human, Space, Time and Human

「嘆きのピエタ」「メビウス」などで知られる韓国の鬼才キム・ギドクによるハードファンタジー。恋人とともに旅行を楽しむ女性、有名な議員とその息子、そして謎の老人と、さまざまな人びとを乗せ、船は出航する。かつては軍艦でありながら退役後はクルーズ…

ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』(2019,新潮社)

優等生の「ぼく」が通う元・底辺中学は、毎日が事件の連続。人種差別丸出しの美少年、ジェンダーに悩むサッカー小僧。時には貧富の差でギスギスしたり、アイデンティティに悩んだり。世界の縮図のような日常を、思春期真っ只中の息子とパンクな母ちゃんの著…