海辺にただようエトセトラ

音楽や映画、本の感想をつらつらと。

2021年 映像コンテンツ振り返り その2

2021年劇場上映映画ベスト

一方劇場でも数多くの傑作に出会えました。
単発での感想記事を書く機会を逃してしまいましたが、以下に簡単にベスト3を紹介します。

 

3位『映画クレヨンしんちゃん 謎メキ!花の天カス学園』(高橋渉監督)

昨年の3位はしんちゃんの映画作品としました。

しんちゃんというと『オトナ帝国の逆襲』が映画ファンの間で人気が高いですが、本作は『オトナ帝国』を凌ぐ面白さだったと思います。

エリート養成校を舞台に、マイペースなしんちゃんと春日部防衛隊がドタバタ劇を繰り広げるのはおなじみの展開なのですが、本筋のミステリが非常に面白いし、鮮やかな伏線回収も見事。

なにより現実社会でも根強い「偏差値偏重主義」に対し明確にNoを突きつける作品の姿勢に感動しました。

「子供は、大人の尺度による、何らかのエリートでならなくてはならない」ではなく、「どんな人にも素敵な個性がある」というメッセージが、作品終盤でとあるキャラクター(個人的には製作陣の設定した、裏主人公だと思います。)の手紙で伝えられるのですが、これは涙なしでは見れないシーンです。

2位『ドライブ・マイ・カー』(濱口竜介監督)

第2位はなんとアカデミー外国語映画賞を受賞し、国際的な評価を不動のものとした濱口竜介監督の作品。

ほぼ3時間という上映時間に圧倒されますが、終始ダレることなく濃密な時間を過ごせることは保証します。

これまでの濱口作品にも通ずる「他者と分かり合うこと」が作品テーマになりますが、作品内で「演技すること=他人になり切ること」として描く構図が見事でした。*1

「濱口節」とも言える得意の長回しも冴え渡って、特に岡田将生の独白シーンはとても引き込まれるものになっていました。

1位『フリー・ガイ』(ショーン・レビ監督)

昨年の映画作品の1位は、オープンワールドゲームとその裏側の人間模様を描いた『フリー・ガイ』としました。

『デッド・プール』以降売れっ子スターとなったライアン・レイノルズの魅力が遺憾無く発揮されたコメディー作品。Netflixドラマ『ストレンジャー・シングス』で愛すべきスティーブを演じている、ジョー・キーリーも現実世界側の主役として好演していました。
何よりクライマックスでの爆笑必至のカメオ出演に驚愕。FOXがディズニーに買収されたからこその展開だったと思います。

笑いどころに満ちた本作ですが、一方で上記2作品と通ずるメッセージが込められていて、そのバランス感覚が心地よい鑑賞体験につながっていると感じました(この辺りはぜひ本編を見て感じていただければ)。ゲームと映画の相性の良さは『レディ・プレイヤー1』が実証済みですが、本作はその着眼点の斬新さもお見事。

 

……ということで2022年も半年が経とうとしているのに2021年の映画の感想を書いております。
今年後半はブログを積極的に書いていこうと思うので、もし目に留まった方はゆるーく見守ってもらえたらと思います。

*1:過去の傑作、『親密さ』のアップデート作品とも言えます。