海辺にただようエトセトラ

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SEULGI of Red Velvet『28Reasons』

韓国の女性グループ、Red Velvetのメンバー、カン・スルギのソロデビューEP。

2022年10月4日リリース。

01. 28 Reasons

02. Dead Man Runnin’
03. Bad Boy, Sad Girl
04. Anywhere But Home
05. Los Angeles
06. Crown

9.5/10.0

まず初めに、彼女の所属する事務所・SMエンターテイメントのツイートを以下に転載する。

知っての通り、SMには多くの(女性)アーティストがいる中で、その一人に「All-rounder Queen」という呼称を使って良いものなのかと思うが、確かにスルギのこれまでのパフォーマンスを見てきた者なら、この評に異を唱えることはないだろう。
透明感のある声と確かな実力を備えたボーカル力、キレのある表現力豊かなダンス、、、音楽におけるスキルがとにかく突出しているので、当然鳴り物入りでのソロデビューとなった。

そしていざリリースされた作品を聞くと、「オールラウンダー・クイーンの面目躍如」と言って差し支えないものであった。

リード曲であるM-1のダークな雰囲気は、かつてグループのリーダー、アイリーンとのユニットで披露した「Monster」の延長にあるかのように感じさせる。イントロからあえて音を割ったような凶暴なビートが鳴り、それが妖艶さを感じさせるMVの世界観を補強する。後半の大サビでガッツリした歌い上げが堪能できるのはSM印と言った感じで、幅広い楽曲を手掛けつつも事務所らしさを損なわないプロダクションはさすがだ。*1

好みの曲は後半に集中している。M-4、5はどちらもシンプルなビートになるが、その分スルギの歌声を堪能できる。
ディスコソング的なリズムのみで静かに展開する前者と、一転して激しいドロップが展開される後者とでどちらも乗りこなしてしまうスルギの器用さが窺える。
特に個人的なベストトラックのM-5はダンス込みの楽曲であろうからぜひパフォーマンスを観てみたい。

そしてファンとして最も注目すべきは、作詞にスルギが参加しているM-2だろう。
意外にもこの曲はハードロック調の力強いサビが印象的で、これまでにないスルギの引き出しを披露された気分だ。こうした重々しくハードな曲調はK-POPのトレンドではないものの、この路線でのまとまった音源も聴いてみたいと思わされた。

ファンの一人としては、あくまで本作は「ソロアーティスト・スルギのデビュー作」として今後の活動を期待したいのだけれど、Red Velvetにはまだソロデビューしていないメンバーもいるし、もちろん成熟した進化著しいグループの活動もあるので気長に待ちたいと思う。

www.youtube.com

*1:クレジットを見ると、SMには欠かせない作家ヨ・ユンジンが確認できた。