海辺にただようエトセトラ

音楽や映画、本の感想をつらつらと。

2020-05-01から1ヶ月間の記事一覧

町田康『ホサナ』(講談社,2017)

執筆5年。人間の根源を問う傑作大長編小説。『告白』『宿屋めぐり』に続く、町田康の新たな代表作、ここに誕生! ホサナ。私たちを救ってください。 愛犬家の集うバーベキューパーティーが、全ての始まりだった。私と私の犬は、いつしか不条理な世界に巻き…

舞城王太郎『私はあなたの林檎の瞳』『されど私の可愛い檸檬』(講談社,2018)

舞城王太郎の「新プロジェクト」として2018年に2カ月連続刊行された短編集。2018年10-11月発売。 『私はあなたの林檎の瞳』 ずっと好きで仕方がない初恋の女の子。僕の告白はいつだって笑ってかわされる。でも、今好きなものを次なんて探せない!(表題作)…

古川日出男『おおきな森』(講談社,2020)

東北から南米へ戦前から現代へ時空の森を貫きその列車は疾る 小説家兼探偵・坂口安吾が、疾走した高級コールガールの行方を追う「第一の森」。記憶を持たない男・丸消須ガルシャが乗った列車で不可解な殺人事件が起きる「第二の森」。そして私は小説に導かれ…

古川日出男『とても短い長い歳月』(河出書房新社,2018)

ニップノップのDJが過去作をミックス、縦横無尽に繋がる28作品が巨大な1作を作り上げる前代未聞の文学的企み! デビュー20周年、著者の最高のガイドブック。解説とコメンタリー付き破格のスケールの作品群を発表しながら、現代文学で唯一無二の地平を切り…

古川日出男『ミライミライ』(新潮社)

第二次世界大戦後北海道はソ連に占領、鱒淵いづるを指揮官とする抗ソ組織はしぶとく闘いを続ける。やがて連邦国家インディアニッポンとなった日本で若者四人がヒップホップグループ「最新"」(サイジン)を結成。だがツアー中にMCジュンチが誘拐、犯人の要求…

マーロン・ジェイムズ『 七つの殺人に関する簡潔な記録』(早川書房)/A Brief History of Seven Killings

1976年12月のボブ・マーリー暗殺未遂事件。犯行に及んだ7人は何者で、目的は何だったのか――真相は明かされず、米国の陰謀すら囁かれる事件をもとにした長篇小説。売人やジャーナリスト、CIA局員、亡霊までがうごめく、血塗られた歴史が語られる(https://ww…

アメコミのヒーローを作った男たち–−スタン・リーとジャック・カービーの伝記

今やMCUとDCEUの貢献のおかげ*1で、知らない人はいないほどメインストリームのコンテンツとなったアメコミ映画だけど、その原作と言える「アメコミ」の日本での立ち位置って、本の高級さや大判さも相まって、結構な「オタク趣味」に位置付けられると思う。 …