海辺にただようエトセトラ

音楽や映画、本の感想をつらつらと。

永江朗『私は本屋が好きでした あふれるヘイト本、つくって売るまでの舞台裏』(太郎次郎社エディタス, 2019)

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反日、卑劣、心がない。平気でウソをつき、そして儒教に支配された人びと。かかわるべきではないけれど、ギャフンと言わせて、黙らせないといけない。なぜなら○○人は世界から尊敬される国・日本の支配をひそかに進めているのだから。ああ〇〇人に生まれなくてよかったなあ……。

だれもが楽しみと知恵を求めて足を運べるはずの本屋にいつしか、だれかを拒絶するメッセージを発するコーナーが堂々とつくられるようになった。そしてそれはいま、当たりまえの風景になった──。

ヘイト本」隆盛の理由を求めて書き手、出版社、取次、書店へ取材。そこから見えてきた核心は出版産業のしくみにあった。「ああいう本は問題だよね」「あれがダメならこれもダメなのでは」「読者のもとめに応じただけ」と、他人事のような批評に興じるだけで、無為無策のまま放置された「ヘイト本」の15年は書店・出版業界のなにを象徴し、日本社会になにをもたらすのか。

書店・出版業界の大半が見て見ぬふりでつくりあげてきた〝憎悪の棚〟を直視し、熱くもなければ、かっこよくもない、ごく〝普通〟で凡庸な人たちによる、書店と出版の仕事の実像を明らかにする。(Amazonの商品紹介より)

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Fukushima 50

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2011年3月11日に発生した東日本大震災に伴う福島第一原子力発電所の事故で、未曾有の事態を防ごうと現場に留まり奮闘し続けた人々の知られざる姿を描いたヒューマンドラマ。2011年3月11日午後2時46分、マグニチュード9.0、最大震度7という日本の観測史上最大となる地震が起こり、太平洋沿岸に押し寄せた巨大津波に飲み込まれた福島第一原発は全電源を喪失する。このままでは原子炉の冷却装置が動かず、炉心溶融メルトダウン)によって想像を絶する被害がもたらされることは明らかで、それを防ごうと、伊崎利夫をはじめとする現場作業員や所長の吉田昌郎らは奔走するが……。現場の最前線で指揮をとる伊崎に佐藤浩市、吉田所長に渡辺謙という日本映画界を代表する2人の俳優を筆頭に、吉岡秀隆、安田成美ら豪華俳優陣が結集。「沈まぬ太陽」「空母いぶき」などの大作を手がけてきた若松節朗監督がメガホンをとった。(https://eiga.com/movie/90279/より)

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ロングデイズ・ジャーニー この夜の涯てへ/地球最后的夜晩 Long Day's Journey Into Night

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初監督作「凱里ブルース」で注目を集めた中国の新世代監督ビー・ガンの第2作。自分の過去をめぐって迷宮のような世界をさまようことになる男の旅路を描いた。途中に3Dのワンシークエンスショットが入るという演出があり、物語の中盤で主人公が映画館に入り、現実と記憶と夢が交錯する世界に入り込むと同時に、観客も3Dメガネを装着し、その世界を追体験することができる。父の死をきっかけに、何年も距離を置いていた故郷の凱里へ戻ったルオ・ホンウは、そこで幼なじみである白猫の死を思い起こす。そして同時に、ルオの心をずっと捉えて離れることのなった、ある女性のイメージが付きまとう。香港の有名女優と同じワン・チーウェンと名乗った彼女の面影を追い、ルオは現実と記憶と夢が交わるミステリアスな旅に出る。2018年・第71回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門に出品。日本では、同年の第19回東京フィルメックスで学生審査員賞を受賞。(https://eiga.com/movie/89955/より)

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屋根裏の殺人鬼 フリンツ・ホッカ/Der Goldene Handschuh

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ソウル・キッチン」「女は二度決断する」のファティ・アキン監督が、1970年代のドイツ・ハンブルクに実在した5年間で4人の娼婦を殺害した連続殺人犯の日常を淡々と描いたサスペンスホラー。第2次世界大戦前に生まれ、敗戦後のドイツで幼少期を過ごしたフリッツ・ホンカ。彼はハンブルクにある安アパートの屋根裏部屋に暮らし、夜になると寂しい男と女が集まるバー「ゴールデン・グローブ」に足繁く通い、カウンターで酒をあおっていた。フリッツがカウンターに座る女に声をかけても、鼻が曲がり、歯がボロボロな容姿のフリッツを相手にする女はいなかった。フリッツは誰の目から見ても無害そうに見える男だった。そんなフリッツだったが、彼が店で出会った娼婦を次々と家に招き入れ、「ある行為」に及んでいたことに、常連客の誰ひとりも気づいておらず……。2019年・第69回ベルリン国際映画祭コンペティション部門出品作品。(https://eiga.com/movie/90714/より)

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名もなき生涯/A Hidden Life

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ツリー・オブ・ライフ」「シン・レッド・ライン」の巨匠テレンス・マリックが、第2次世界大戦時のオーストリアで、ヒトラーへの忠誠を拒み信念に殉じた実在の農夫の物語を映画化したヒューマンドラマ。第2次世界大戦下のオーストリア。山と谷に囲まれた美しい村で、妻フランチスカと3人の娘と暮らしていたフランツは、激化する戦争へと狩り出されるが、ヒトラーへの忠誠を拒んだことで収監される。裁判を待つフランツをフランチスカは手紙で励ますが、彼女自身もまた、裏切り者の妻として村人たちから酷い仕打ちを受けていた。ナチスに加担するよりも自らの信念に殉じ、後に列福されたフランツを「イングロリアス・バスターズ」「マルクス・エンゲルス」のアウグスト・ディール、妻フランチスカを「エゴン・シーレ 死と乙女」のバレリー・パフナーが演じた。また、2019年2月に他界した名優ブルーノ・ガンツが判事役を務めている。19年・第72回カンヌ国際映画祭コンペティション部門出品。(https://eiga.com/movie/91140/より)

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ハスラーズ/Hustlers

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リーマンショック後のニューヨークを舞台に、ストリップクラブで働く女性たちがウォール街の裕福なサラリーマンたちから大金を奪う計画を立てたという実話を、ジェニファー・ロペスと「クレイジー・リッチ!」のコンスタンス・ウーのダブル主演で映画化。年老いた祖母を養うためストリップクラブで働き始めたデスティニーは、そこでひときわ輝くストリッパーのラモーナと出会う。ストリッパーとしての稼ぎ方を学び、ようやく安定した生活が送れるようになってきたデスティニーだったが、2008年に起こったリーマンショックによって経済は冷え込み、不況の波はストリップクラブで働く彼女たちにも押し寄せる。いくら働いても自分たちの生活は向上しない一方、経済危機を起こした張本人であるウォール街のエリートたちの裕福な暮らしは変わらず、その現実に不満を募らせたラモーナが、デスティニーやクラブの仲間を誘い、ウォール街の裕福なクライアントから大金をだましとる計画を企てる。(https://eiga.com/movie/91824/より)

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37セカンズ

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出生時に37秒間呼吸ができなかったために、手足が自由に動かない身体になってしまった女性の自己発見と成長を描き、第69回ベルリン国際映画祭パノラマ部門で観客賞とCICAEアートシネマ賞を受賞した人間ドラマ。脳性麻痺の貴田夢馬(ユマ)は、異常なほどに過保護な母親のもとで車椅子生活を送りながら、漫画家のゴーストライターとして空想の世界を描き続けていた。自立するためアダルト漫画の執筆を望むユマだったが、リアルな性体験がないと良い漫画は描けないと言われてしまう。ユマの新しい友人で障がい者専門の娼婦である舞は、ユマに外の世界を見せる。しかし、それを知ったユマの母親が激怒してしまい……。主人公のユマと同じく出生時に数秒間呼吸が止まったことによる脳性麻痺を抱えながらも社会福祉士として活動していた佳山明が、オーディションで見いだされ主演に抜てき。母親役を神野三鈴、主人公の挑戦を支えるヘルパー・俊哉役を大東駿介、友人・舞役を渡辺真起子がそれぞれ演じる。ロサンゼルスを拠点に活動するHIKARI監督の長編デビュー作。(https://eiga.com/movie/89602/より)

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