海辺にただようエトセトラ

音楽や映画、本の感想をつらつらと。

2016年ベストディスク 日本のポップ&ロック 【後篇】

超絶今更ですが後半戦!

5位 underslowjam PHONETIC CODE

Favorite Track M-13「in the rain -mellow gold mix-」

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5位はヒップホップバンドの復帰作。彼らの魅力は程よさ(暴言)。ソウルネスにもポップにも聞こえるyoshiroのセクシーなボーカルと、バランス感覚に優れたragのラップ。

「いかれたBABY」のカバーも入れたりしつつ、“今聞くべき”サウンドになっています。気持ちいいけどSuchmosほど聞かれてないのでもっと多くの人と共有したい!

 

 

4位 Gotch Good New Times

Favorite Track M-3「Good New Times」

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4位は僕の導き手として尊敬してやまないこの方の作品を。

正直言って今作は非常に難しい。ここで鳴っているサウンドを「インディーロックだね!」とか「フォークに振り切ったね!」とか安易にカテゴライズできない。これまでゴッチが吸収してきた数多のサウンドが複合的に混ざり合っては、優秀なミュージシャンたちと形にしていった「無ジャンル音楽」だと思う。その“語りづらさ”が周囲の過小評価につながっていると思う。

「Paper Moon」「ジャック・ケルアック」などのワードからアメリカ文化への憧憬を読み取ることもできるかもしれないけど、受け手の都合だけで情報を切り取って「簡単に語られてしまうこと」への抵抗感のようなモノを感じる。

ただ聞けば聞くほど面白さを発見できる作品でもある。取り敢えずキャッチーなM-3からでも聞いてみてください。

(※ソロを入れたので再録ソルファは除外です。再生回数で言えば超余裕で上位に食い込むんだけどね)

 

 

3位 綿めぐみ 『ブラインドマン

Favorite Track M-3「ブラインドマン」

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3位は先述したゴッチとこちら、どちらを選ぶか迷いました……。が、このネット発のアイドルの作品にしました。

元々OBKRというシンガーが好きだったのですが、彼の設立したレーベルから出た本作を何の気無しに聞いてみたら見事にドンピシャでハマり、年間再生回数は1位に。

アイドルというよりはFKA Twigsや、ビヨンセの最新作の雰囲気をまとっており、シンプルなビートが主役のウィスパーボイスを際立てています。

複雑な歌詞も一聴すると酩酊感を生み出し、さらに読み込むと意味がつかめてきて面白い。

惜しむらくはMVのクォリティがいまいちな点……もうちょい良いカメラを使えばチープに見えなかったのでは。

 

 

2位 D.A.N. 『同』

Favorite Track M-5「Time Machine」 

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2位は音楽好きで聞いてない人はさすがにいないだろう…という、下北や三茶を拠点に稼働する新進バンドの1stフル作。

「このバンドにしか出せない作家性」「今までの日本のロックが生み出せなかったサウンド」の両方をクリアした、今後のロック史の基準となるであろう大傑作。

深夜のクラブで紫煙とともに揺らいで聴くのが最高に気持ちいい音楽。これまでにあった「ダンス×ロック」的なカテゴリーを一蹴してしまうセンスの良さ。人間を根源から躍らせる才能を持ってるよこの人たち。

去年は一度しかライブに行けていませんが、大人びた作風と年齢相応の元気さが上手い具合に混ざっていて本当に楽しい空間を作り上げていました。今年は行けるイベントはどんどん行きたい。

いずれゼップで聴いて揺れたい。踊りたい。新作も早く聴きたい。

ひとまず↑の曲で格の違いを堪能あれ。

 

 

 

1位 宇多田ヒカル 『Fantôme』

Favorite Track M-9「忘却 (Feat. KOHH)」

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1位はついに復活を遂げた日本を代表する女性シンガーの最新作。

まず音楽好きを唸らせるのが彼女のアンテナの高さ。ワールドワイドな人気を得つつあるラッパーKOHH(M-9)や先述したシンガーOBKR(M-6)など、彼女よりも下の世代を客演に迎える「采配力」は素晴らしい(ここまで現行の音楽シーンを知り尽くしていて、本当に「人間活動」していたのかと疑いたくなるほどに、アンテナが研ぎ澄まされてるよ)。

多彩なサウンドもそうだが、やはり凄いのは歌詞。生と死、静と動、知性と無邪気さ、悲しさと喜び……本来同居し得ない2つが同居している歌詞には唸らされまくりました。

「忘却」と、それに続く「人生最高の日」の歌詞を見れば、彼女があらゆる視座で世界を捉えては愛を歌っていることは一目瞭然。この先、作品を出し続けるたびにリスナーに新しい世界を見せてくれることでしょう。

↑忘却はKOHHのラップパート多めで特殊な構成のため批判コメントも非常に多いが、彼らは普通に感性が鈍っている人たちなので放っておきましょう。

 

以上で国内ランキング終了です。ヒップホップも別途組んでいますが、気が向いたら紹介します。

今年始まってすでに一カ月経っちゃってるけど、今年もいい音楽に出会えますように!