海辺にただようエトセトラ

音楽や映画、本の感想をつらつらと。

日本のヒップホップベストアルバム in 2018 Pt.2

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というわけで、前回の続きです。

 

#5 5lack『KESHIKI

FAVORITE SONG M- 3「Twiligh Dive(Beat by 5lack)」

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後半1枚目はPUNPEE実弟にして、もはや中堅どころと言っていいラッパー/ビートメイカーのアルバムを。

本作の前にリリースされた名ビートメイカー、Olive Oilとの共作は少し(いや、かなり…)厳しいクオリティだったのですが、以前より連発していたシングルもまとまった本作は、ビートやそれに乗っかるラップのバラエティも富んでいて、とても好んで聴いていました。

ちなみにOlive Oilとのアルバムは、リミックス盤がオリジナルよりも遥かにクオリティが高いです。

#4 ID『INSTANT DOPE EP』

FAVORITE SONG M-2「NEO(feat.Lui Hua)」

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続いては沖縄の若手ラッパーの6曲入りEPを。
聴く人が聴けば海外の様々なラッパーを思い浮かべるフロウや声の処理ですが、屈託無く真似ることのできる気概と、日本語へと変換できる器用さは素晴らしいと思います。

フルレングスのアルバムでたっぷりラップを堪能したいです。

#3 Pablo Blatsa『888』

FAVORITE SONG M-4「Anemone(Prod. IVN)」

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続くPablo Blastaも若手ラッパーですが、海外のラッパーと十分張り合えるメロディアスさとスムースなフロウが魅力的で相当回数聴き込みました。

花の名前がタイトルでよく使われたりと他の若手ラッパーよりも持つ「美学」が際立っていたのも高順位になった要因です。

どの曲も非常にキャッチーなので、このランキングでは一番馴染みやすい作品かも。彼もフルアルバムに期待したいラッパーです。

#2 KID Frasino『ai qing』

FAVORITE SONG M-11「Nothing is still ft. C.O.S.A.」

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もはや王者の風格すら漂うKID Fresinoの待望の新作も当然ランクイン。
彼の素晴らしいところはアルバムのインタビューであっけらかんと各楽曲の参照元インタビューで話すのですが、それが安易な剽窃となっておらず、「KID Fresino印」としか言いようのない解釈が施されているところです(ゆえに、元ネタの曲を聴いても何を参照したのかよく分からない)。

「オリジナルが生まれ得ない時代であるならば、新しい引用の仕方であったり、その組み合わせを土台に曲作りをすることで、オリジナルであると言い張ろう」

別のインタビューでも話していますが、そのスクラップ&ビルドによって新しい価値を生み出す姿勢は非常に真摯にヒップホップだと感じさせます。

一方で試行錯誤の末に生み出した生バンドとの制作スタイルなど、既存のヒップホップにとらわれないアイデアを高次元に実践できている点も見事。

彼が目標として掲げた、Kendrick Lamar『good kid, m.A.A.d city』やChance The Rapper『Coloring Book』などの歴史に残るド傑作に比肩するかどうかは、皆さんの判断に任せますが、SHIBUYA O-EASTでのワンマン実現など、シーンの外にまで広がった人気を見ると、単なるビッグマウスとあしらうことは不可能に近い。

確実に現在のシーンを代表するトップランカーです。

#1 EVISBEATS『ムスヒ』

FAVORITE SONG M-4「花火」

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2018年最も素晴らしかったアルバムは、EVISBEATSの『ムスヒ』でした。

大傑作『ひとつになるとき』から6年経ってようやく3作目という寡作ぷりですが、今年は本作以外もアルバム未収録の楽曲をまとめた『HOLIDAY』、ラップの没曲をまとめた『ナンセンス』と、かなり精力的なリリースがあり、その全てが高クオリティだったため、トップとして選出しました。

残念ながらサブスクに解禁されていないのですが、彼の作品はサブスクでリリースされていたとしても、「手元に置きたくなる」温もりを持った作品を作ってくれています。

仏教思想をベースとした詩の世界と、沖縄〜東南アジアを彷彿させる民族音楽のエッセンを取り入れたサウンドは、日本人に程よい異国情緒を感じさせながらも心地よく胸に響きます。


というわけで、僕の昨年よく聴いたヒップホップ作品の紹介でした。

この中で気に入ったものを見つけてくださったら嬉しいです。今年もマイペースに更新しますので気になった時に覗いてくれるとありがたいです。

よろしくお願いします。