海辺にただようエトセトラ

音楽や映画、本の感想をつらつらと。

レディ・プレイヤー1/Ready Player One

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スティーブン・スピルバーグ監督が、アーネスト・クラインによる小説「ゲームウォーズ」を映画化したSFアクション。貧富の格差が激化し、多くの人々が荒廃した街に暮らす2045年。世界中の人々がアクセスするVRの世界「OASIS(オアシス)」に入り、理想の人生を楽しむことが若者たちの唯一の希望だった。そんなある日、オアシスの開発によって巨万の富を築いた大富豪のジェームズ・ハリデーが死去し、オアシスの隠された3つの謎を解明した者に、莫大な遺産とオアシスの運営権を明け渡すというメッセージが発信される。それ以降、世界中の人々が謎解きに躍起になり、17歳の孤独な青年ウェイドもそれに参加していた。そしてある時、謎めいた美女アルテミスと出会ったウェイドは、1つ目の謎を解き明かすことに成功。一躍オアシスの有名人となるが、ハリデーの遺産を狙う巨大企業IOI社の魔の手が迫り……。作中のゲーム世界には、アメリカはもとより日本のアニメやゲームに由来するキャラクターやアイテムなどが多数登場する。(http://eiga.com/movie/84003/より)

9.3/10.0

目まぐるしく投下される、愛おしいポップアイコンの数々を全身に浴び続ける、映像式快楽装置としか言いようのない映画でした。
80年代を青春として過ごした、あるいはその年代への羨望を持っている人間であれば興奮を隠せない140分間になること間違いなし。

映画館で予告を観たときは、あまりに「オーバーウォッチ」に似たキャラクターが出てきたりしていたので、てっきり中国のディ●ニーランド的なものかと勘違いしていたが、劇中に出てくる全てのコンテンツが許諾を得て一本の映画に集結していることは感嘆ものだ。

正直言ってストーリーはツッコミどころだらけだけどもご愛嬌だろう。
おそらく80年代当時の敵は憎々しさもあれど、結構おっちょこちょいで憎みきれない部分もあったことを踏襲しているのだろう。

一方でこの映画を観ていると少し寂しい気分にもなる。日本のカルチャーの扱われ方だ。本作は周知の通り相当数の日本発のコンテンツが取り上げられている。

ちょい役で出てくることもあれば、物語の大筋に関わることもかなりあり、原作者及びスピルバーグの惜しみない日本リスペクトが感じられる。
もちろんこのリスペクトは、「かつての日本」に対し向けられたものだ。

現在の日本を振り返るとポップカルチャーの中心で発信している状況とは言い難い。インベーダーの Tシャツをアイコン的に着ているハリデーの姿や、メカゴジラガンダムが戦うシーンを見ながら、歯がゆい思いになったことも事実だ。

この作品にとって個人的に何よりも重要に感じたことが、ポップカルチャーはサンプリングによって進化する」ことを堂々と示したことだ。
昨今やたらと著作権問題に揺れるアメリカのエンタメ界隈にも一石を投じることになることを願う。リスペクトと愛を持って作品を紡いでいく––。

その景色が、この先も延々と続いていきますように。

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