海辺にただようエトセトラ

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今日の1曲 #7 the chef cooks me『Now's the time』

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ロックバンド、the chef cooks meの新曲。2月23日配信開始。

2月に聞いていた音楽をまとめて記事にしようと思ったのですが、この曲はやけに思いが溢れてしまい、単発でご紹介です。

9.5/10.0

まずこてこてな一言を。「おかえり!」

国産のインディーロックバンドで最も「唯一無二の肯定感」を全面に押し出す最高バンド、シェフ・クックス・ミーの新曲がようやく届いたわけですよ。
日本のロック、そしてポップミュージックの中でも屈指の名作『回転体』以降、彼らは常に「産みの苦しみ(スランプではない)」に苛まされていた感がありました。*1

しかしアジカントリビュートでの「踵で愛を打ちならせ」の、超絶大胆なゴスペル的解釈を用いたカバーによって、ドラスティックな変化がシモリョーさんの中に生まれたのは間違いない。「踵で〜」を経て1年後にリリースされたこの曲を聞いて、そう確信しました。

もはやバンドサウンドからも解き放たれた新生シェフの選んだ方向性は、海の向こうのChance the RapperとDirty Projectorsとの共振。

全メンバーが脱退し、実質デイヴ・ロングストレスのソロプロジェクトと化したDirty Projectorsは、バンドサウンドを捨て、ひたすらに悲壮感を歌い上げることで自己治癒を試みていました。しかし、我らがシェフはどれだけ挫けようとも(色々あったのです)口から漏れ出るのは、あくまでリスナーの背中を押す言葉。

でもその歌もリバーブをかけあえて「歪める」ことで、暗い感情を経ての発露であることを表現し、ノーテンキな想いでないことも示しています。こういうメタ的な視点が入っている曲、大好きです。

正直に言って、彼らは日本で最も過小評価されているバンドだと思います。
ここで歌われていることって、普段ミスチルしか聞かないような人たちにも十分届く強度があると、僕は信じています。*2

まだまだ届き足りない。一人でも多くの人に聞いてほしい。この曲は、そんな思いでいっぱいになる名曲です。

追記

シモリョーさんのnoteより、歌詞が公開されました!

note.mu

シェフの音楽は以下リンクから。

geo.itunes.apple.comopen.spotify.com

open.spotify.com

*1:勝手な憶測だけど、ceroもそうじゃないかしら。

*2:誤解しか生まない表現ですが、「年間音楽ベスト!」とかを組まない「ややこしくない人たち」、という風に捉えてください。