海辺にただようエトセトラ

音楽や映画、本の感想をつらつらと。

ASIAN KUNG-FU GENERATION 極私的BEST (Disk 1)

これの続きです。まずは「Disk 1」として、前半部分の紹介です。

open.spotify.comDisk-1
M-1 振動覚(From『ソルファ』)
M-2 自閉探索(From『君繋ファイブエム』)
M-3 Winner or Loser / 勝者と敗者(From『Wonder Future』)
M-4 夜を越えて(From『フィードバックファイル2』)
M-5 ネオテニー(From『ワールドワールドワールド』)
M-6 腰越クライベイビー(From『サーフブンガクカマクラ』)
M-7 双子葉(From『マジックディスク』)
M-8 Little Lennon / 小さなレノン(From『Wonder Future』)
M-9 センスレス(From『ファンクラブ』)
M-10 ラストダンスは悲しみを乗せて(From『マジックディスク』)
M-11 未だ見ぬ明日に(From『未だ見ぬ明日に』)

はじめに言っておきたいのが、僕はアジカンの曲は全てがベストである。と自信を持って言い切れる中毒者なので、どれだけこのプレイリストが入門盤足り得ているのかは分かりません。
アジカン初心者の方は、ぜひ『BEST HIT AKG』を一聴の上、こちらも聞いていただければと思います。

まずディスク1、2両方に共通している僕の考えとして、「『Wonder Future』がアジカン史上最高傑作」という前提があります。
アルバムとしての構成、楽曲ごとのパワーやメッセージ性、ロックミュージックとしての単純なカッコ良さがつまった、2010年代ロックの金字塔的作品だと思います。

ですのでこの作品を中心に据えつつ、「時間軸と意識のブレ」をテーマにした構成としました。

「ブレ」については言葉にすると難しいのですが、人の意識ってゲームのレベルアップみたいに日々向上できるものではなく、解き放たれている瞬間もあれば、どうしようもなくふさぎ込んでしまう瞬間の繰り返しだと思うのです(それは、喰らうダメージの量に関わらず)。

正と負の感情が振り子のように往復していく中で、人は螺旋的に成長していくものじゃないかなと考えているので、曲順通りに聞くと心情や時間軸に矛盾が出てくるものもあります(Disk-2なんか特に、夜の後に夕方の曲があったりとか)。

人生は単純な一本道ではないからこそ、こういったねじれた構成の方がリアリティがあるかなと考えています。

……またまた長々とすみません。以下、簡単にこのリストの意図をコメントします。

M-1〜4

印象的なギターリフが並ぶ楽曲で序盤を固めていますが、個人的に意識したのは歌詞。
技術や才能ではなく、初期衝動こそが表現において重要だと語る「振動覚」から、その初期衝動そのものを歌詞に落とし込んだ「自閉探索」をつなげました。

その衝動の発露が、分断的な社会へのメッセージとなって投げかけられる「Winner or Loser / 勝者と敗者」、あるいは音楽という表現のあり方を問う「夜を越えて」へ続いていく流れはかなり気が利いているなと思います(自画自賛)。

M-5〜7

中盤はアジカンの楽曲の幅広さと、「青さ」をテーマに組みました。
ロディアスなギターが複雑に重なっていく様が美しい「ネオテニー」は、成長しきれない自身を幼形成熟になぞらえて歌う焦燥感が、個人的にかなり好みな曲です。

続く「腰越クライベイビー」は、その無力感が「クライ」に集束する歌詞が悲しげなのですが、韻律と情景描写が両立できる表現力の高さを感じる隠れ名曲。

「双子葉」はタイトルそのものが「幼さ」を想起させるもので、内容を見ると過ぎ去った日々を振り返るような歌詞。前2曲の幼き語り部が成長して、青春を思い出している…という構成にしています。

M-8〜11

終盤は幼さを超え、「他者」に対して言葉を発しているもので構成。

人の営みが社会をどのように形成していったのか、形成していくためにはどうすればいいのか(=「イメージ」する)を問いかける「Little Lennon / 小さなレノン」から始まり、もはやライブの終盤の盛り上げに欠かせないオアシスライクなロックナンバー、「センスレス」でつなぎました。

そして個人的にアジカンの中でトップクラスに好きな「ラストダンスは悲しみを乗せて」をトリ前に配置! 悲しみを抱えたままダンスする切なさや、ラストの「I love you」の自問自答が素晴らしい歌詞で、個人的に何度も励まされた曲です。

ラストの「未(ま)だ見ぬ明日に」は、今回のコンセプトを一筆書きで描いているような名曲なので、とりあえず聴いてください

こんなところでしょうか。
思っていたよりもヘビーな記事だった……別記事でDisk 2にも触れます。