海辺にただようエトセトラ

音楽や映画、本の感想をつらつらと。

gifted ギフテッド

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キャプテン・アメリカ」「アベンジャーズ」シリーズのクリス・エバンスが幼い姪に愛情を注ぐ独身男を演じ、「(500)日のサマー」「アメイジングスパイダーマン」のマーク・ウェブ監督がメガホンをとったファミリードラマ。生まれて間もなく母親を亡くした7歳のメアリーは、独身の叔父フランクとフロリダの小さな町でささやかながら幸せな毎日を送っていた。しかし、メアリーに天才的な特別な才能が明らかになることで、静かな日々が揺らぎ始める。メアリーの特別扱いを頑なに拒むフランクのもとに、フランクの母エブリンが現れ、孫のメアリーに英才教育を施すため2人を引き離そうと画策する。母の画策に抵抗を続けるフランクには、亡き姉から託されたある秘密があった。(http://eiga.com/movie/86935/より)

8.8/10.0

まず、声を大にして言いたいことは、マーク・ウェブ大復活ということ。

ミュージックビデオの名手として満を辞して長編映画を手がけた『(500)日のサマー』で大絶賛を受け(僕はあまり好きではないが)、勢いそのままにサム・ライミの降板を受けてソニー・ピクチャーズのドル箱シリーズ『スパイダーマン』の監督に大抜擢されるが、こちらは打ち切ったはずの前シリーズよりも興収、評価ともにだだ下がりの末2本で打ち切り

「もうイキフン重視のMV監督に戻るしかないのか」と思っていたが、ここまでの傑作を作り上げるとは! 偉そうすぎて申し訳ないが、見直したぜ!

感慨深いのが、アメコミ映画で失敗したマークがクリス・エバンスという、アメコミ映画俳優を主役に起用し、自分の得意なフィールドである「人間ドラマ」でカムバックしたこと
深読みが過ぎるかもしれないが、この構図がちょっとした意趣返しのように思えて痛快だ。

もちろん、本作で最も重要な役を担っているのが子役のマッケンナ・グレイスだ。「天真爛漫さを演じてます!」的なわざとらしい子役の演技とは一線を画す、「マジの数学の天才なんじゃないのこの子?」と思わせるリアリティが凄まじい。学校の勉強の退屈そうな表情や、後半の大学での数式のやり取りを見ていると、そうとしか思えない(一番良い演技は、とある場面で担任の先生と出くわした時の表情! 大爆笑でしょ‼︎)。

話そのものは重すぎず、適度にユーモアがあり、家族の絆にホロリ(僕は大号泣でしたが)とさせられる……万人にお勧めできる映画です。

それゆえに作品の良さと比較すると、あまりにも知名度が低いことが不満である。こういう良作こそ、TOHOシネマズはバンバン予告をかけるべき!