海辺にただようエトセトラ

音楽や映画、本の感想をつらつらと。

今日の1曲 #2-TOKYO HEALTH CLUB「City Girl」(2014年)

本日はこちら。

TOKYO HEALTH CLUBCity Girl」(TOKYO HEALTH CLUBHEALTY』収録)2014年発表

多摩美の卒業生で結成されたヒップホップユニット、TOKYO HEALTH CLUB(以下、THC)。2ndまでの作品は1000円を割る価格でアルバムを販売していることでも話題になったが、作品のクオリティが追いついていない印象だった。

しかし本曲はナードなラップスタイルと曲のテーマ、シンプルなトラックが良い塩梅になっていて中毒性が高くて飽きない。

何より素晴らしいのが渋谷の可愛いこちゃんを追い回すMVの良さ。ライブハウスのWWWをスタート地点として、一発撮りで道ゆく女の子を代わる代わる追い回すMVは「健全ないかがわしさ」にあふれていて何度も見てしまう。

歌詞を読むと大まかに1、2番で語り部が変わっているようで、1番では夜遊び上等な女の子の視点、2番はその女の子を引っ掛ける男たち、と言う構成のように見える。冒頭のSIKK-Oのバースは結構エグくて、

I’m れのビッチガール またがる男子を 求めてヒッチハイク

なんてくだりで始まる。続くラインで

やくしまるえつことボブマーレー iPodシャッフルぐ夜まで

とあるので、フラットな価値観を持っているセンスの良い子なんだろうなぁ、、、などと架空の女の子に思いを馳せて聞くのも楽しい(けど虚しい)。

手頃な大人で良いじゃん
今が最高だって言える過去 等身大
乙女の遊ぶ髪亜麻色
クレバーな表情で振りまく愛想

続くJYAJIEのバースの女子は割としたたかだな……と思いながらDULLBOYのバースを聞くとこの子も面白い。

美女もブスも概念 ルーペで見れば 細胞 サイエンス

と、見てくれで女性に判断を下す哀れな男にチクリと嫌みを言ったりしている。

バースで刹那的に生きる都会の若者の週末(の心境)を描きながら、サビは週末のつかの間の楽しみが終わることを惜しむ歌詞が美しい。都会の交通インフラの象徴であるメトロを、「メリーゴーラウンド」というモラトリアムのメタファーにしているのも見事。

HOOK :
地下鉄は回る回る 東京 終電は24
乗り換えたくない
メリゴーランド まだまだ

似た景色かわるがわる
あいつなんかよりマシでいたい 明日も働かなきゃなんない
朝から

 

みんな大好き、Kid Fresinoのビートジャック版もクールです。

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