海辺にただようエトセトラ

音楽や映画、本の感想をつらつらと。

KOHH『DIRTⅡ』

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DISC-1
01. Intro
02. Die Young (Prod by TeddyLoid)
03. I Don't Get It (feat. J $tash, Loota, Dutch Montana)
04. Business and Art
05. 暗い夜 (feat. Tommy Lee Sparta)
06. Born to Die
07. I Am Not a Rockstar
08. Needy Hoe (feat. Dutch Montana, Loota)
09. Hate Me

DISC-2
01. Dirt Boys Ⅱ (feat. Dutch Montana, Loota)
02. Living Legend Ⅱ
03. Mind Trippin' Ⅱ (feat. SICK)
04. V12 Ⅱ(feat. Mony Horse)
05. Tattoo入れたい Ⅱ
06. ビッチのカバンは重い Ⅱ (feat. Dutch Montana)
07. Hiroi Sekai Ⅱ (feat. J $tash, Young Sachi)

DISC-3 [DVD]
1. Die Young[Music Video]
2. Business and Art[Music Video]
3. Dirt Boys Ⅱ[Music Video]
4. Dirt Tour at F.A.D. Yokohama[Live]
5. Dirt Tour in Jammin' Nagoya[Live]
6. Behind the Scene in Jamaica

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7.4/10.0

2016年のフジロックにも出演を果たした人気ラッパー、KOHHの2016年作。

タイトルが示す通り、本作は2015年に発売され、KOHHの評価をゆるぎないものにした3rdアルバム、『DIRT』の続編にあたるものだ。

「Break’Em Al」でのコラボも記憶に新しいTeddy Loidや、MURASAKI BEATZらによるトラップmeetsメタル的なサウンドを中心に繰り広げられる本作の流れは、ハードなサウンドとは裏腹に非常に聞きやすく、このキャッチーさが人気の一因であることは想像に難くない。

一方で新曲が9曲、DISC2は過去曲のリミックスという構成は、2枚組にも関わらずボリューム不足感がある。

KOHHはひたすらに曲を量産できるタイプのラッパーという印象があるので、新曲が9曲で、しかも歌詞にもそこまで目新しさを感じさせてくれなかったのは少し残念だ。

シンプルゆえに矛盾が散見される歌詞への指摘が、YouTubeのコメントなどではよく見かけるが、そもそも矛盾のない人間なんかいないわけで、個人的にはありのままを見せる(見せようとしている)KOHHのスタイルには好感を持っている。

ただ、「自分の生み出す音楽がビジネスか、はたまたアートなのか」という葛藤を吐露するM-4に関してはかなりの拒否感を覚えた。

だってKOHHって、高額な限定盤の販売や、スマホアプリ経由での新作販売だの、いまシーンで最も金儲けにストイックなアーティストじゃないですか!

もちろん高水準な作品を生み出すアーティストには、しかるべき富が舞い込むべきだし、以前ライブで公言していたように「ラップで家を建てて」欲しい。だけども、これだけバックが収益構造を確固たるものにしているのに、「お金じゃないアートぉ~」。と歌われたところで、さすがに説得力は感じないかなぁ。

実際に「ビジネス」と決別して最新作を無料でリリースしているラッパーを前にすると、この姿勢は薄っぺらく見えてしまうわけですよ。

先述したリリックのトピックの重複なんかもあり、個人的には本作が「ヒップホップリスナー 」 と「KOHHのファン」との分水嶺になりそうな気がしないでもない。