海辺にただようエトセトラ

音楽や映画、本の感想をつらつらと。

Gotch『Can’t Be Foever Young』

image

1.Wonderland / 不思議の国
2.Humanoid Girl / 機械仕掛けのあの娘
3.The Long Goodbye / 長いお別れ
4.Stray Cats in the Rain / 野良猫たちは雨の中
5.Can’t Be Forever Young / いのちを燃やせ
6.Nervous Breakdown / 軽いノイローゼ
7.Aspirin / アスピリン
8.Great Escape from Reality / 偉大なる逃避行
9.Blackbird Sings at Night / 黒歌鳥は夜に鳴く
10.Sequel to the Story / 話の続き
11.A Girl in Love / 恋する乙女
12.Lost / 喪失

9.2/10.0

ASIAN KUNG-FU GENERATIONのフロントマン、後藤正文のソロアルバム。2014年4月30日発売。

311以降のアクションを見る限り、リベラルな流れを汲んだ作品になるのかなと思ったが、アジカンの作詞でも見せる写実性を巧みに取り入れた、日々を生きる人の視点を借りた短編小説集のような作品に仕上がっている。

一方でサウンド面はアジカンのようなギターロックはなりを潜め、時にはカントリー調に、時には打ち込みを取り入れつつもフォーキーになったりと「バンド」というよりも「ソングライター」としての側面が強まった。より素朴な、生身のゴッチがリスナーに語りかけてくるようだ。

当初は非常にキャッチーな前半部分を好んで聞いていたけれども、後半部分から次第にセンシティブさが増していく構成に唸らされ、今では必ず通しで聞いている。

どうしようもない切なさや、やり切れなさを抱えて、それでも日々を生きていくアルバムの登場人物の物語は、僕自身でもあるし、周りで生きている人間でもある。

アルバムと同時期に発売された別冊カドカワの特集号に収録されている、作家の古川日出男のインタビュー兼解説が非常に素晴らしいのでアルバムの副読本として、ぜひ読んでいただきたい。