海辺にただようエトセトラ

音楽や映画、本の感想をつらつらと。

松江哲明のハラスメント問題に思うこと/ごく個人的な決意について

まずはじめに、僕が今まで見た松江哲明の作品は『フラッシュバックメモリーズ3D』と『東京都北区赤羽』(※途中まで鑑賞)、あとは某映画上映時の自主制作作品(2-3分)のみです。
従って本投稿は彼の熱心なファンのものではありません。あと長い割に目新しい切り口で今回の問題を語っているわけでもありません。

読まれる方はその点ご理解の上読んでいただけますと幸いです。

松江哲明ハラスメント問題のリンク集

詳細な経緯は省くが、以下のリンクを読んでもらえれば今回の問題についてお判りいただけると思う。

※↑リンク先にある対談の「文字起こし」と見比べると、松江哲明に対してかなり好意的な編集がされている印象がある。
ただ、この原稿を受けて松江哲明は掲載を拒否。なおかつ以下の声明を発表する。

自分が問題を知ったタイミング

僕が今回の騒動を知ったタイミングは、多くの人同様、2017年8月25日の『童貞を。プロデュース』の舞台挨拶だった。

ツイッターに何気なく回ってきた動画で、下半身を晒して松江哲明と対峙する賀々贒三の姿を見て、「過激な映画のプロモーションの一貫なのかな?」と思っていた。

しかし動画内のやりとりをよくよく見ると、かなり深刻なハラスメントが内包された出来事であると痛感し、個人的にはショックを受けた。

『フラッシュバックメモリーズ3D』

というのも、松江哲明が監督した『フラッシュバックメモリーズ3D』にはいたく感動し、劇場では都合4回も鑑賞していたこともある。
更に言えば、4回のうちの1回は映画の主役であるGOMA & The Jungle Rhythm Sectionが演奏シーンを生演奏で再現する「4D上映」に行ったほどだ。

上映後のトークショー松江哲明の雰囲気は非常に穏やかで紳士的だった。司会者が「松江さんは天才ですよね」と話を振ると語気を強めて「いや、天才ではありませんよ」と返すなど、謙虚さが伺えたからだ。

『フラッシュ〜』はGOMAの演奏者としての復活がメインのストーリーだが、それ以上に彼の家族が持つ大きな愛も描いていた。その眼差しを捉えるためには、もちろん監督自身が家族へ大きな愛を持っているのだろうなという想像を巡らせていた。だからこそ、人権を無下にするような仕打ちをしたという『童貞〜』の松江哲明と像が結びつかなく、ショックだった。

『童貞を。プロデュース』やサブカルの消費について

冒頭に書いた通り、松江哲明の映画作品は『フラッシュ〜』以外観ていないので、『童貞〜』もタイトルを知っていたものの、そのタイトルゆえ観たいとは思わなかった。内容はせいぜい「イケてない童貞へのモテ指南みたいなものだろ」と邪推し『フラッシュ〜』のようなカタルシスを得られそうにもないだろうな、と。

とはいえ、当時「サブカル的コンテンツ」を消費することがある種「イケてる」という風潮があり、自分自身それに乗っかっていた記憶もある。
事実2014年に上映されたカンパニー松尾率いる『テレクラキャノンボール2013』を友人と観て爆笑していた自分もそこにはいたからだ。
『テレクラ〜』は動画内でも同意書を書くシーンがあり「出演者の人権をないがしろ」にしている映像作品ではないが、「ドキュメンタリー“だからこそ”笑いものにする」転じて「それを“愛”とか“プロ意識”のようなポジっぽい言葉で肯定することで、自分を守る」という処理の仕方をしていたと思う。

多分これって、『童貞〜』を観て笑っていた人たちと全く同じなのではないかと思う。

そう考えると自分はたまたま『童貞〜』を観ていなかっただけで、社会人になってもそういう暴力性をうちに秘めている弱い卑怯な人間であるなと、今回の問題を他人事として済ませられない気持ちになった。

個人的な決意

今現在の松江哲明のアクションや声明は被害者に対して非常に不誠実かつ「本当に罪の意識があるのか?」と疑わしい部分があり、非常に残念に感じる。*1

そこでごく個人的な決意をブログには書いておこうと思った。

映画『音楽』のボイコット

松江哲明が「プロデューサー」としてクラウドファンディングの呼びかけまで行っていた、映画『音楽』の鑑賞をボイコットする。

制作者に落ち度がないことは重々承知しているが、ツイッターの公式アカウントやHPなどでもこの件に一切触れないのは非常に不誠実だと思うからだ。

キャストも好きな方ばかりの作品*2だったので非常に楽しみにしていたのだが、今ではまるで松江哲明が関わっていなかったかのような振る舞いをしている本作の関係者たちにも失望している。(※個人的な観測範囲だと、共同プロデューサーの九龍ジョーは度々ツイッターで批判的に言及している)

いくつかの記事のクローズ

弱小かつ極小の当ブログの流入を調べると、なぜか映画『WHO KiLLED IDOL ? –SiS消滅の詩–』の検索からご覧いただく方が多い。
しかし本作を含む、今回の騒動の加害者の一人でもあるカンパニー松尾の関わった作品についての記事3本をクローズしようと思う。

『Bisキャノンボール』の記事内でも書いたが、劇中の年上男性(かつ、AV監督)たちのアイドル達に対する行いはハラスメントに近い……いや、ハラスメントそのものとも言える行為が見受けられたり、WACKのアイドル運営そのものも基本的には「運営側=強者」によるアイドル達へのハラスメントがあると判断し、そういった娯楽物からは距離を置きたいと思ったからだ。

これは別に善人ぶりたいわけではなく、『〜サブカルの消費』の項でも触れたとおり、自分自身にも彼らに似た暴力性があることを遠ざけたい、という逃避です。情けない話ですが。自分の心の整理のためです。

普段はあまり自分の感情を書き留めるようなことをこのブログではしないのだけれど、流入の多い記事をクローズすることもあるので表明じみた記事を書いてみることにした。

*1:対談で賀々贒三が話しているとおり、松江哲明が声明を発表する時は必ず自分の関係する作品が稼働中の時だ。その場しのぎで取り繕う様が見え隠れする

*2:特に坂本慎太郎の作品は、ほとんど持っているし、ライブにも足を運んでいる。