海辺にただようエトセトラ

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シュガー・ラッシュ オンライン/Ralph Breaks the Internet

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人間たちが知らないゲームの裏側の世界を舞台に、アーケードゲームのキャラクターである悪役ラルフと少女ヴァネロペの冒険と友情を描いたディズニーアニメ「シュガー・ラッシュ」の続編。好奇心旺盛なレーサーでプリンセスのヴァネロペと、心優しい悪役キャラクターのラルフは大親友。ある日、ヴァネロペが暮らすアーケードゲームシュガー・ラッシュ」が故障し、廃棄処分の危機に陥ってしまう。シュガー・ラッシュを救うべくゲームの世界から飛び出した2人は、刺激的だけど恐ろしい危険も潜むインターネットの世界に足を踏み入れるが……。アナとエルサ、シンデレラ、白雪姫らディズニー作品やピクサー作品のプリンセスたちをはじめ、多数のディズニーキャラクターが登場する。前作も手がけた「ズートピア」のリッチ・ムーアと、両作で脚本家としてコンビを組んだフィル・ジョンストンが共同で監督を務めた。(https://eiga.com/movie/88633/より)

9.4/10.0

※終盤の展開に触れています。

前作より6年後の未来という、リアルタイムの時間経過を見せた本作。
舞台を「アーケードゲーム」から「インターネット」に移しても、物語の本質をブラすことなく少し大人向けのディズニー映画として物語を楽しめた。

虚実合わさったインターネットのサービスはどれも面白いが、序盤の見所は、eBayでの高額落札を補填するために、ラルフがユーチューバー((厳密には架空の動画系SNSとして稼ぎを得ていくシーン
この界隈に明るくない僕でも、「こういう動画流行ってんだろうなぁ」と思いながら爆笑していた((「動画ヒットの法則は?」「既にヒットしている動画を真似する!!」的なやり取りも最高。このくだりで出るインターネットの鉄則「コメントは見ない」も、なるほどと思わせるものだし、ネットに触れざるを得ない子供世代への教育としてもためになる作品だと思う。

そう思わせる最も大切なシーンが、物語終盤でラルフの肥大化した自意識がウイルスとなってネットを荒しまわるシーンだ。
このシーンは、ネットでは自分を客観的に見ることができないことが非常にうまく描けている

ラルフは相棒のヴァネロペが、オンラインのレースゲームに魅了され、ホームであるゲームセンターに帰らないことを知り、悲しみに暮れる。
その悲しみがウイルスに探知・複製され、ネット上にばらまかれてしまうのだが、ラルフが、ウイルスになった自身のクローンを見た瞬間に「あれは気持ち悪いわ」とげんなりするカットは最高だ。

そんなネット社会における小ネタがメタファーとしてわんさか出る部分に惹かれて本作を楽しく鑑賞したが、ディズニーファンにとっては予告編でおなじみのヴァネロペとプリンセスたちとの絡みなど、エンタメ的な部分でも見応えは充分。個人的にはMARVEL作品でおなじみのあの人のカメオ出演に大いに泣かされた。

そもそも物語の根幹は、傑作SF『星と都市』が参照点なので泣けないはずがない
自分の寂しさと、パートナーの夢のどちらを優先すべきか、理屈ではわかっていてもやはりどうしようもなく切ないなぁと感じさせられた。

【蛇足】
一方でこの映画では、「オンラインに楽しさを見出した子供達と、時代に取り残されたゲームセンターとの関係性」に関しては全く語られていない。時代を描くのなら、その点はどうなのとも思ったけど、尺の都合もあるし。
次回作へと持ち越しかな。

 

映画「シュガー・ラッシュ:オンライン」の感想 #シュガラお題