海辺にただようエトセトラ

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PS4『Detroit: Become Human』をプレイして

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 『HEAVY RAIN』や『BEYOND』といった「映画的なアプローチのゲーム」制作が特徴的なフランスのスタジオ、「クアンティック・ドリーム」の開発した最新作、『Detroit: Become Human』が非常に面白かったので紹介します。

9.5/10.0

ストーリー

物語の概要はこんな感じです。

西暦2038年のアメリカ・デトロイトAI技術とロボット工学の発達により、人間そっくりのアンドロイドが製造されるようになり、人間は過酷な労働から解放されようとしていた。それにより人類は更なる経済発展を手に入れる一方で失業率が増大。貧富の格差が拡大していった。アンドロイドによって職を奪われた人々は反アンドロイド感情を持つようになり、排斥運動にまで発展していった。

2038年8月、家庭用アンドロイドが所有者を殺害し、所有者の娘を人質に立てこもる事件が発生した。そのアンドロイドはまるで意思や感情を持つようで「変異体 (Deviant)」と名付けられた。以後、変異体はその1体にとどまらず、増え続けていった。「変異体」には、与えられた仕事を放棄し逃亡したり、中には人類からの解放を叫び「革命」を起こそうとする者もいた。アンドロイドは単なる「便利な機械」なのか?それとも、生きているのか?人類は、新たな課題に直面する。(以上、ウィキペディアより)

SFファンにとってはおなじみ、『ブレードランナー』的な世界観を持つ本作は、「人間らしさとは?」を、プレイヤー自身が考えさせられる作品となっています。
本作は「人間に限りなく近いけれど人間ではないもの=アンドロイド」の主人公3人の視点を借りて、物語を進めます。
彼らは一様に、人間から差別的な、理不尽な仕打ちを体験します。アンドロイドから見える残酷な世界を通して、人間が本来持つべきモノ・取るべき行動とは何であるか……。否が応でも考えてしまうのです(「なぜそこまで没入できるのか?」に関しては次項に譲ります)。

ゲームである必要性

このような「映画的なアプローチのゲーム」は、「映画鑑賞によって代替できるのでは?」という指摘を受けがちです。
その疑問には、「映画とは全く異なる体験をできる」と答えましょう。このゲームの最大の魅力は、「プレイヤーの選択肢によって物語の結末が変化する」所にあります。

「選択肢で物語が変化」と書くと、いわゆるギャルゲー的な発想になりますが、まぁあのゲームがよりリアリティを伴った、と考えてもらうのが良いかもしれません。

ネタバレを控えるために少しぼかして書きますが、あるストーリーの中で、主人公が武器を見つけるシチュエーションがあります。
しかし、行動によっては武器を見つけられないまま話が進んでしまうケースもあります。
武器がないとなると、ほかのストーリーで危機的な場面に直面した際、武器を用いた交渉が不可能となってしまいます。

「主人公の一挙手一投足が、後々のストーリに影響を及ぼす」ことになるので、プレイヤーは慎重に選択肢を決定する必要があります。
しかし、このゲームの製作者は結構意地が悪い。選択肢には時間制限が設けられており、その制限時間がかなり短いので、直感的な選択が求められます。
あくまで体感ですが、「このストーリーの流れがこうだから、この選択肢を選ぶべきだ」という考えに至る方は、全体の半分くらいではないでしょうか。
この制限時間の短さも、「リアリティの追求」としてよくできています。
現実世界でも重大な判断が必要な場面は、大抵時間が限られているものです。

その緊迫感の中、半ば本能的に自分の選んだ言動によって物語が変化していくので、このデトロイトの世界への没入感は、通常の映画を軽く凌駕します。

 

……他にも書きたいことはまだまだありますが、駄文を読むよりも体験してこそだと思います。興味を持った方はぜひプレイしてみてください。

アクション要素もなきにしもあらずですが、難易度を一番易しくすればゲームに慣れていない方でも容易にプレイできるはずです。 

Amazonの評価もいわずもがな。
しかし、6000円以下でこんな体験ができるとは……。