ロックミュージシャン、上田剛士のソロユニット、AA=(エーエーイコール)の6thアルバムにして、再録ベストアルバム。2018年4月4日発売。
〈Track List〉
01. LOSER
02. 2010 DIGItoTALism
03. posi-JUMPER
04. KILROY WAS HERE
05. WORKING CLASS
06. GREED…
07. Such a beautiful plastic world!!!
08. HUMANITY2
09. ROOTS
10. meVIR
11. sTEP COde
12. The Klock
13. STARRY NIGHT
14. WARWARWAR
15. DREAMER
16. 4 leaf clover
17. ALL ANIMALS ARE EQUAL
18. FREEDOM
19. PEACE!!!
9.3/10.0
THE MAD CAPSULE MARKETSから、この激しくもキャッチーでポップなサウンドを愛してやまない人間にとっては、TAKESHI様が10年かけて積み重ねた経験を元に、AA=のサウンドを再解釈してくれることは垂涎以外の何物でもない。70分ひたすらに爆音に包まれる幸せな時間を過ごせる。
個人的な解釈では、AA=以降のサウンドは「ノイズ」がテーマになっているように感じる。ノイズは、音楽としては異質なものだ。いびつな音であるため、音楽として鳴ることに違和感を感じる人もいるかもしれない。
だがその「ノイズ」は、現代社会と共鳴している。この国の表現(音楽や映画、文学など)が大きく変わっていったのは東日本大震災以降だが、それ以前にも敏感な表現者たちは不穏な空気を感じ取ってはアウトプットしていたように思う。*1上田剛士にとって、その不穏さは「ノイズ」となって現れたのだろう。
あえてリリース順をバラバラにした本作を通しで聞いてみると、AA=が持つメッセージの一貫性が浮かび上がってくる。象徴的なのがソロデビュー曲であり、本作を締めくくるM-19「PEACE!!!」だ。
搾取構造や格差社会に対し断固として「No」を突きつけるその姿勢は、現在も変わらず聞く者(=市民)を鼓舞し続ける。
すでに楽曲として完成したものを改めて再録することは、長年愛聴していたリスナーにとってはある種の「コレジャナイ」を感じる可能性はある。「初めて聞いた音」が、正解だと思っているからだ。
個人的には、「posi-JUMPER」のバース部分のボーカルがTAKESHI様からTAKAに変わってしまっていることに違和感を覚えたが、ライブとともに楽曲を育てる中で、この譜割りがベストなのだろう。ライブ同様にバンド編成で再録をした本作は、今後のバンドでの再現度も意識した作品なのだ。
特にM-16以降の楽曲は、従来の楽曲との変化が顕著で聴いていて楽しい。
ラウド系の後進バンドへの影響が計り知れない、偉大なパンクロッカーの入門盤としても、MADから長年追い続けたファンも楽しめる一枚だと思う。
※以下のMVは原曲
・M-01「LOSER」
www.youtube.com・M-07「Such a beautiful plastic world!!!」
www.youtube.com・M-05「WORKING CLASS」
www.youtube.com・M-12「The Klock」
*1:ASIAN KUNG-FU GENERATIONの『ワールドワールドワールド』なんかは顕著だと思う。