海辺にただようエトセトラ

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ASIAN KUNG-FU GENERATION 極私的BEST (Disk 2)【最終回】

これこれの続きです。プレイリストの後半をご紹介。

open.spotify.comDisk-2
M-1 Easter / 復活祭(From『Wonder Future』)
M-2 All right part2(From『ランドマーク』)
M-3 夜の向こう(From『ソルファ』)
M-4 ナイトダイビング(From『ワールドワールドワールド』)
M-5 夕暮れの紅(From『フィードバックファイル』)
M-6 Re:Re:(2016年ver.)(From『ソルファ(2016)』)
M-7 マシンガンと形容詞(From『ランドマーク』)
M-8 月光(From『ファンクラブ』)
M-9 或る街の群青(From『ワールドワールドワールド』)
M-10 Eternal Sunshine / 永遠の陽光(From『Wonder Future』)
M-11 新しい世界(From『ワールドワールドワールド』)

M-1〜2

Disk-1は「青さ」に重きを置いていたので、こちらの序盤は割と成熟した視点から始められればと思い、この2曲を配置しました。

大傑作『Wonder Future』の口火となった、大文字のロックナンバー「Easter / 復活祭」は、もはや「成熟」というより一回死んで復活したという設定の曲。
それくらいの価値転換が求められている社会になっている/目の前のことをやり過ごしていくとあっという間に滅びるよ、というメッセージがゴッチ節を効かしたユーモアある名曲になっています。
続く「All right part2」は、50音順に歌詞を並べるという言葉遊びが、アジカンの中でも特にユニークさが目立つ曲。「言葉の意味を脱構築することで、メタ的に言葉の意味深さを浮き彫りにする」……なんてオタク的な考えを書こうと思いましたが、自分でも何書いているかよく分からないのでやめておきます。

M-3〜5

続いての曲の流れは、あえて時間軸を逆(夜明け→真夜中→夕暮れ)にした構成としました。時間軸は逆なのですが、曲の流れはだんだんとメロウになっていくところがお気に入りです。

世間的に最も知名度の高いアルバム、『ソルファ』の中盤「夜の向こう」〜「Re: Re:」の流れのオマージュでもあります。

M-6〜7

中盤の2曲はゴッチが大切にしている贈与という考え方が色濃く反映された曲で構成しました。*1
「自分が持っているもの(授かったもの)を周りに分け与える」という発想は、間違いなくこれからの人間社会を豊かにするものであると思うので、個人的にも共感できる考え方です。
洋楽バンドを呼び込んだ主催フェス、インディーアーティストのプロデュース、自主出版による新聞の配布など、言葉だけでなく行動にも起こしている姿勢にリスペクトを込めて。

特に「マシンガンと形容詞」は、アジカンの中で最も好きな曲かもしれません。
ビート感の強いギターリフと、ゴッチのスポークンワーズ的なフロウが心地よく、なによりも歌詞が素晴らしい。特に感銘を受けた部分を以下に引用します。

君の20年後へ 僕らはそっと有るだけのチップをベットしよう
息吸って 毒吐いて 全額スってしまっても
金になんて代えられない
差し出すのが誇りさ

それが愛だって
希望だって
胸を張って言おう

M-8〜11

ラストの展開は、心情的にはかなりアップダウンの激しい曲の組み合わせになっています。

無力感に苛まれる主人公を、月の明かりがただ照らしている「月光」、闇も光もない交ぜになった世界に駆け出そうとする「或る街の群青」、不可解な未来にも希望を見出して旅立つ「君」へエールを送る歌「Eternal Sunshine / 永遠の陽光」と、正と負の感情が交互に顔を見せます。

あっけらかんとした希望や無責任にポジティブなメッセージは、今の社会においてリアルではないというゴッチの心情が伺える曲たちです(だからこそ誠実なので、リスナーに響く)。

とはいえ、アルバムのラストは明るく終えたいなぁと思い、オーラス感バリバリの「新しい世界」を締めの曲としました。この曲にある強烈な肯定感は、Disk 1の冒頭で書いた「初期衝動」がベースにあるので、巡り巡ってこのプレイリストの頭に戻れるような流れも意識しました。

 

……とまぁ、自己満のプレイリストに関してつらつらと書いてきましたが、全て読んでくださった方がいらっしゃれば感謝感激です。

あと、最後に大切なことを書かせてください。

みんな、ベストアルバム買おうぜ!!(締め方ネタ切れ)

*1:「Re:Re:」は少し感情が先走っていますが、ここにある想いも贈与の一つだと考えています