海辺にただようエトセトラ

音楽や映画、本の感想をつらつらと。

坂本慎太郎『ナマで踊ろう』

image

01. 未来の子守唄
02. スーパーカルト誕生
03. めちゃくちゃ悪い男
04. ナマで踊ろう
05. 義務のように
06. もうやめた
07. あなたもロボットになれる
08. やめられないなぜか
09. 好きではないけど懐かしい
10. この世はもっと素敵なはず

(Disc2には全曲のインストver.が収録)

8.2/10.0

海外のファンも多いシンガーソングライター、坂本慎太郎の2枚目のソロアルバム。2014年5月28日発売。

本作は「人類滅亡後の地球」をテーマに作られた。

当然ながら今までのシングルやアルバムと比べると、非常にコンセプチュアルな内容になっておりディストピアめいた舞台を想定されて書かれた歌詞は、従来のファニーな雰囲気が薄まり“不穏さ ” が表面に露出している。

その“不穏さ ” は日本人が持っている「先送り気質」や「ヒステリックな大衆心理」を皮肉を込めながらあぶり出しているのだが、そのさじ加減が絶妙だ。

いくつか歌詞を引用する。

眉間に小さなチップを埋めるだけ(中略)新しいロボットになろう

不安や虚無から解放されるなら/決して高くはないですよ

(M-7“あなたもロボットになれる”)

地震 水害 台風 大火災/見舞われるたびにもうやめよう/と思った でもやめられない俺は/あれを

(M-8“やめられないなぜか”)

見た目は日本人 同じ日本語/だけどもなぜか 言葉が通じない/はみ出した存在は すぐに消してしまう

(M-10“この世はもっと素敵なはず”)

特定の事象に言及していない、抽象的な歌詞だからこそ、リスナーがしてしまった様々な過ちを突きつけられている気分になってしまい、アルバムを聴き終えた後にはこの国や自分の将来に不安ばかりが残る作品になっている

最後は「ぶちこわせ」と歌いアルバムは締めくくられる。ぶち壊した先に希望があるのかは分からない。分からないなりにひたすら学んで考えるしかない。

「ぶちこわし方 」 含めて。