海辺にただようエトセトラ

音楽や映画、本の感想をつらつらと。

2018年1月に聴いた音楽

音楽作品単体の記事で挙げられるパワーがない時の救済措置。
基本新譜をご紹介します。縛りを設けないと際限がないので、5枚までの紹介です。ナンバーつけていますが、順不同。

それではどうぞ。

1.GAGLE『VANTA BLACK』

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仙台を拠点に活躍しているヒップホップグループの4年ぶりの6作目。

作品が出されなかった期間もライブにはちょくちょく通っていたので、そこまで久しぶり感もなかったけれど、やはりまとまって新曲が聞けることは嬉しい。

男性ボーカルとの相性の良さ、絞られた客演、深化の止まないMITSU THE BEATSのサウンド……。早くも今年ベスト級の傑作だと思います。
もちろん主役HUNGERのラップは相変わらず唯一無二で、今作は歌詞のテイストも曲ごとに明確にアプローチを変えていて面白い。

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2.・・・・・・・・・『         』

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お次はシューゲイザーをサウンドのベースにしたアイドルユニット、「ドッツ(トーキョー)」の初のフルアルバム。

実は本作、昨年末にOTOTOYから期間限定で無料配信されたものですでに愛聴していましたが、製品版も購入。

このアイドル、明確なユニット名はおろか、各メンバーの顔も名前も伏せられた状態*1で活動をしていて、その「匿名性」が特徴であるアイドルなのですが、それによって逆に先入観なく作品を聴けて「単純な楽曲の良さ」に惹かれています。メンバーの顔も目隠しされているので、ルックスでの好悪の判断も難しいです。

グランジを基調にしたヤナミューもそうですが、このドッツも本格的なシューゲイザーのバンドとシャッフルして聴いても、サウンド面では遜色ないクオリティなのが驚きです。実際新進のシューゲイズバンド、For Tracy Hydeが楽曲提供をしていたりします。
ライブはまだ荒さが目立ちますが、今後のライブ経験でいくらでも伸びるのではないでしょうか。

3.電気グルーヴ / 卓球と旅人『MAN HUMAN / 今夜だけ』

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続いてはシングルですが、あまりにも傑作なので紹介。

いわゆるダブルA面で、Netflixオリジナルアニメ『Devilman cry baby』のオープニングテーマと、9話のみにエンディグテーマとして起用された曲で構成されています。

電グルといえばハイクオリティなテクノサウンドと、ナンセンスな歌詞が作品の柱となっていますが(乱暴にまとめてすみません)、本作は曲中延々とリフレインする「MAN HUMAN」の単語がデビルマンという作品の精神性にも通じており、言葉の合間で「人間らしさとはなんだろう」と、無意識に思考してしまいます。

一方9話のエンディングでのみ流される「今夜だけ」は、石野卓球七尾旅人のコラボレーション。ゼロ年代最後の名曲である「Rollin’ Rollin’」にも通ずる七尾旅人の切ない歌声と、卓球の奏でるミニマルなサウンドとコーラスがとても素晴らしく、ひと夜の刹那を分かち合いたかったであろう「あの二人」のことを考えると、たまらなく切ない想いに駆られてしまいます。

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4.The xx『Remixies』

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続いてはここ日本でも来月幕張メッセでライブを敢行するほどの人気を誇る、イギリスの3ピースバンドのリミックス集を。

1st、2ndの時のミニマルなサウンドを中心に、クラブ仕様にした収録曲はどれも絶品。はじめはリミキサーを意識しないようにあえてシャッフルで聴いていたのですが、耳が惹かれるのはやはりFour Tetの手がけた2曲。

抑制されたビートには、リスナー側の「ダンス/思考の余白」が残されているように思え、そう捉えると即物的なEDMよりも俄然快楽度が高くなるので、ひたすら繰り返し聴いています。
今は収録順に聴いているのですが、編集盤といえども曲の流れの緩急は付いているので10曲70分間のDJプレイを体感しているような気分にもなります。

とにかく一言。ライブが死ぬほど楽しみです!!

5.No Age『Snares Like A Haircut』

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最後は、アメリカはカリフォルニア州のロックデュオの久々の新作を。

実はNo Ageを聞くのは今作が初めて。なんだか、学生の時分であった「USインディー全盛!」の頃はSpotifyもなく、1バンドを深く掘り下げて聞きたい身としては、限られた金でどのCDを買うかに悩まされ、DeerhunterやDirty Projectors、Vampire WeekendにTV on the Radioなどは1作目から追っていて、No Ageだけノーチェック……という状況でした(他にも追いきれていないバンドは多数います)。

先述したドッツや昨年復活したライドの新譜を聞いて、実はシューゲイザー/ノイズ系が今の自分にめちゃくちゃツボだということが判明したので、本作を購入。
いわゆるこの系統は「轟音ギター」がサウンドのアイコン的に語られがちですが、イヤホンで聞くと轟音というよりも、ギターの波に包まれた感覚になってとても気持ちいい気分になれるのがいいですね。

geo.itunes.apple.com以上っす。こんな感じで月末にはまとまった音楽紹介ができればと思います。
もちろん、作品単体を深めにご紹介もしていきたいのですが。

果たして何回続くのだろうか。

*1:正確には不定期にニックネームが変わる