海辺にただようエトセトラ

音楽や映画、本の感想をつらつらと。

日本のヒップホップベストアルバム in 2017 Pt.2

前回に引き続き、第2弾です。今回は6〜10位を発表します。

#10:NERO IMAI「RETURN OF ACID KING」

Favorite Track : 特になし

image

NERO IMAI - BEST GIRL FRIENDS - Pro.DJ HIGHSCHOOL 

10位は近年メキメキと頭角を現している東海エリアのラッパーの初の全国流通作品。タイトルやジャケットの通りかなり偏った世界観が繰り広げられる作品で、はじめは少しとっつきづらい。しかし、2〜3周ほど通しで聴いていくと、不思議と耳に馴染んできてひたすら癖になる作品だ。

ノイズミュージック的なトラックに乗るNERO IMAIのテクニカルなラップは、ダウナーなドラッグでグズグズになってしまった感覚追体験するようなファンタジーがあり、中毒性が高い。曲単位というよりも、アルバム全体を通して聴くと得られる酩酊感が最高。

#09:Cherry Brown「Geminii」

Favorite Track : Chigau? (Prod. by SLVG)

image

Cherry Brown - ジャミン [Prod. by Automatic & Lil'Yukichi]

9位はビートメイカーとして、BAD HOPを中心にかなり引き合いのあったラッパーの3rdアルバムを。しかし、個人的には未だに彼は過小評価されている印象が拭えなく、この傑作も取り上げているメディアがものすごい少ない。

海外のトレンドをほぼリアルタイムで自分の色に落とし込み、楽しげにラップするCherry Brownのスタイルは非常に魅力的で、時折見せる内省的な曲の「とがり具合」は見事。フェイバリットにあげた曲は、ハーフゆえに受けた差別や苦痛をベースに、怒りとユーモアをミックスさせた感性が素晴らしい。この作品も少なくともBAD HOP並みに売れるべき

#08:Minchanbaby「たぶん絶対」

Favorite Track : 02. 蛇田ニョロ(Pror.粗悪ビーツ)

image

Minchanbaby "NISHIVI"

この作品の持つ恐ろしいまでの「強度」については、後日しっかりとまとまった文章で書きたいと思う。

孤独や死生観で覆い尽くされても、表現に対してはどこまでも誠実な、替えの効かない唯一無二のラッパーが生み出した大傑作。リリースライブの内容がものすごい良かったのでもっと上にしても良かった…。

#07:MONYPETZJNKMN「磊」

Favorite Track : 04. SPACY (Prod. Chaki Zulu)

image

SPACY - MONYPETZJNKMN (Prod. Chaki Zulu)

いわゆる「イケてる」ラッパーたちによる初のフルアルバムは、これまで同様スマートなラップが心地よく、歌詞の内容は「仲間と大麻吸って気持ちいい〜」がほとんどなのだけど、ひたすらにスタイリッシュに聴かせる。

ありとあらゆる種類のトラックを高水準に量産し続けるChaki Zuluのプロデュース能力に、来年も引き続き圧倒されそうですな。

#06:ゆるふわギャング「MARS ICE HOUSE」

Favorite Track : 03. Hunny Hunt(Prod. Automatic)

image

ゆるふわギャング(Yurufuwa Gang)「Hunny Hunt」

6位は、特に今年前半の話題を独占したクルーの初作を(当ブログの記事はこちら)。

この世界観がシーンのラッパーをどれだけ巻き込んでいくのか。次作はひたすらに客演を招きまくって欲しいと思う。

以上がPt.2です。次回で残りの5枚を紹介します。