「色で老人を喰う」裏稼業を描く戦慄の犯罪小説
妻に先立たれた後期高齢者の耕造は、六十九歳の小夜子と同居しはじめるが、夏の暑い日に脳梗塞で倒れ、一命を取り留めるも重体に陥る。
だか、裏で小夜子は結婚相談所を経営する前科持ちの男、柏木と結託していた。
病院へ駆けつけた、耕造の娘である尚子、朋美は、小夜子の本性を次第に知ることとなる―。
結婚相談所の男と、結婚したパートナーと、死別を繰り返す女につきまとう黒い疑惑。
恐るべき“後妻業”の手口と実態。 (Amazonより)
単行本は2014年8月、文庫本は2016年6月発刊。
7.8/10.0
個人的には『悪果』以来の黒川作品。
今回は後期高齢者の遺産を狙う(&偽装殺人を行う)犯罪者を主役にした作品。
Amazonのレビューを見ればわかる通り、完全に「あの人」の死にまつわる騒動を想起させる内容になっていて、まぁとにかく下世話に楽しめる小説だ。
物語のテンポの良さも黒川節といったところで、同じ内容でも宮部みゆきなら上下巻に分けてのボリュームになるだろう(その時はその時で面白いんだろうけど)。
冗談はさておき、二転三転するストーリーは先が読めず、悪い人間同士の腹の探り合いや、大阪近辺の成金の遊び方をのぞき見える舞台も面白かった。
ただ惜しむらくは僕自身が大阪の地理に全く明るくないことだ。地元の人、関西のひとであれば倍以上楽しめる内容なのだろう。個人的にはテンポもめまぐるしく感じる部分があったのでこの点数で。
あと気になるのが映画のタイトル(= 後妻業の女 )。「の女」って重語になってない?