海辺にただようエトセトラ

音楽や映画、本の感想をつらつらと。

Gotch『Good New Times』

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1.Lady In A Movie
2.Paper Moon
3.Good New Times
4.The Sun Is Not Down
5.Independence Dance
6.Tokyo Bay
7.Port Island
8.The Mediator
9.Baby, Don’t Cry
10.Life Is Too Long
11.Star Dust

8.4/10.0

人気ロックバンド、ASIAN KUNG-FU GENERATIONのフロントマンも務める後藤正文のソロプロジェクトの2ndソロ。

先行配信は2016年6月8日、CDは7月13日発売。

公式サイトでLP盤を購入するとサイン入り&デジタル音源ダウンロード可。

アナログ販売に力を入れているゴッチだが、今作はRadioheadの新譜の販売形態に近い。「アナログ/CD/配信」と各媒体で販売されているが、アナログ購入者はデジタル音源を即ダウンロードできる。

多くのアーティストが「音源制作から実際の作品流通までのタイムラグ」に関してストレスを感じていることは知っていたので、できたての新作をすぐさま配信・ダウンロードできるスピード感はリスナーにとってもありがたい(アナログ発売はプレス、流通の関係で9月発売だからね)。

肝心の中身だが、やっぱり表題曲の軽やかさ、開放感に尽きる。多幸感溢れる温かいトラックの上に乗る歌詞は、ただ単に楽観を歌うわけではない。

「何もないなら 何でもありだぜ」

この1ラインに本作の魅力が集約されているといっても過言ではない。
現状に絶望しきった今だからこそ、花束(=一見実利がないものだが、だからこそ心の余裕を暗示している)を渡すように理解し合い、閉ざされた個人の世界を開くべきだ――

アジカンでも、ソロでもゴッチは「政治」ではなく「社会」について書いて、歌っている。この希望に溢れた曲は、その集大成とも言える曲でもある。妙なバイアスのかかった人たちも、一聴すればすぐさま魅力に気付くだろう。

本作は海外のマーケットを意識しているからか、半分以上の曲が英詞だ。ゴッチの日本語詞に魅力を感じている自分にとっては、少し取っ付きづらい作品だったが、公式サイトにすべての歌詞が訳付で掲載されている。それを何度も見ながら血肉にしている。これからも大切に聞いていきたい。