海辺にただようエトセトラ

音楽や映画、本の感想をつらつらと。

BOOK

姫野カオルコ『彼女は頭が悪いから』(文藝春秋,2018年)

2016年に起こった、東大生5人による強制わいせつ事件に着想を得た小説。 横浜市郊外のごくふつうの家庭で育ち女子大に進学した神立美咲。渋谷区広尾の申し分のない環境で育ち、東京大学理科1類に進学した竹内つばさ。ふたりが出会い、ひと目で恋に落ちたはず…

村上春樹『女のいない男たち』(文藝春秋,2014年)

舞台俳優・家福をさいなみ続ける亡き妻の記憶。彼女はなぜあの男と関係したのかを追う「ドライブ・マイ・カー」。妻に去られた男は会社を辞めバーを始めたが、ある時を境に店を怪しい気配が包み謎に追いかけられる「木野」。封印されていた記憶の数々を解く…

ジェシカ『SHINE』(河出書房新社,2020年 )

K‐POPスターを目指す少女のサクセスストーリー!18歳のアメリカ出身の韓国人のレイチェルは、韓国最大のK‐POPレーベル、DBエンターテインメントにスカウトされ、練習生として厳しいレッスンを受けている。練習生のルールは簡単。24時間・365日トレーニングを…

ルフィのパンチは敵を●さない〜離脱組のONE PIECEへの疑問

ちょっとワンピースに感じていた疑問を記事にしました。 ご意見いただけるとありがたいです。

ガブリエル・ガルシア=マルケス『コレラの時代の愛』(El amor en los tiempos del cólera-1985,木村榮一訳)

ノーベル文学賞を受賞したラテン・アメリカの小説家のキャリア後期の作品。19世紀末から20世紀初頭にわたる内戦につぐ内戦の時代とコレラの蔓延する時代を描いた。

石井妙子『女帝 小池百合子』(2020, 文藝春秋)

ノンフィクション作家、石井妙子による現職都知事のドキュメンタリー。 コロナに脅かされる首都・東京の命運を担う政治家・小池百合子。女性初の都知事であり、次の総理候補との呼び声も高い。 しかし、われわれは、彼女のことをどれだけ知っているのだろう…

ミシェル・オバマ『マイ・ストーリー』(集英社ビジネス書,2019)

第44代アメリカ大統領夫人、ミシェル・オバマの自伝。原題は『BECOMING』。 違いを乗り越えて、 人々をエンパワーメントする 生き方とは。 「これは私の話だ!」 前アメリカ大統領夫人の回想録が、 日本でも多くの共感を呼んだ―― 世界45言語、1,000万部突破…

町田康『ホサナ』(講談社,2017)

執筆5年。人間の根源を問う傑作大長編小説。『告白』『宿屋めぐり』に続く、町田康の新たな代表作、ここに誕生! ホサナ。私たちを救ってください。 愛犬家の集うバーベキューパーティーが、全ての始まりだった。私と私の犬は、いつしか不条理な世界に巻き…

舞城王太郎『私はあなたの林檎の瞳』『されど私の可愛い檸檬』(講談社,2018)

舞城王太郎の「新プロジェクト」として2018年に2カ月連続刊行された短編集。2018年10-11月発売。 『私はあなたの林檎の瞳』 ずっと好きで仕方がない初恋の女の子。僕の告白はいつだって笑ってかわされる。でも、今好きなものを次なんて探せない!(表題作)…

古川日出男『おおきな森』(講談社,2020)

東北から南米へ戦前から現代へ時空の森を貫きその列車は疾る 小説家兼探偵・坂口安吾が、疾走した高級コールガールの行方を追う「第一の森」。記憶を持たない男・丸消須ガルシャが乗った列車で不可解な殺人事件が起きる「第二の森」。そして私は小説に導かれ…

古川日出男『とても短い長い歳月』(河出書房新社,2018)

ニップノップのDJが過去作をミックス、縦横無尽に繋がる28作品が巨大な1作を作り上げる前代未聞の文学的企み! デビュー20周年、著者の最高のガイドブック。解説とコメンタリー付き破格のスケールの作品群を発表しながら、現代文学で唯一無二の地平を切り…

古川日出男『ミライミライ』(新潮社)

第二次世界大戦後北海道はソ連に占領、鱒淵いづるを指揮官とする抗ソ組織はしぶとく闘いを続ける。やがて連邦国家インディアニッポンとなった日本で若者四人がヒップホップグループ「最新"」(サイジン)を結成。だがツアー中にMCジュンチが誘拐、犯人の要求…

マーロン・ジェイムズ『 七つの殺人に関する簡潔な記録』(早川書房)/A Brief History of Seven Killings

1976年12月のボブ・マーリー暗殺未遂事件。犯行に及んだ7人は何者で、目的は何だったのか――真相は明かされず、米国の陰謀すら囁かれる事件をもとにした長篇小説。売人やジャーナリスト、CIA局員、亡霊までがうごめく、血塗られた歴史が語られる(https://ww…

アメコミのヒーローを作った男たち–−スタン・リーとジャック・カービーの伝記

今やMCUとDCEUの貢献のおかげ*1で、知らない人はいないほどメインストリームのコンテンツとなったアメコミ映画だけど、その原作と言える「アメコミ」の日本での立ち位置って、本の高級さや大判さも相まって、結構な「オタク趣味」に位置付けられると思う。 …

ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』(2019,新潮社)

優等生の「ぼく」が通う元・底辺中学は、毎日が事件の連続。人種差別丸出しの美少年、ジェンダーに悩むサッカー小僧。時には貧富の差でギスギスしたり、アイデンティティに悩んだり。世界の縮図のような日常を、思春期真っ只中の息子とパンクな母ちゃんの著…

永江朗『私は本屋が好きでした あふれるヘイト本、つくって売るまでの舞台裏』(太郎次郎社エディタス, 2019)

反日、卑劣、心がない。平気でウソをつき、そして儒教に支配された人びと。かかわるべきではないけれど、ギャフンと言わせて、黙らせないといけない。なぜなら○○人は世界から尊敬される国・日本の支配をひそかに進めているのだから。ああ〇〇人に生まれなく…

チョ・ナムジュ『82年生まれ、キム・ジヨン』(筑摩書房)/82년생 김지영

韓国では100万部を超えるベストセラーとなった小説。2018年12月10日に日本語訳版が刊行。 ある日突然、自分の母親や友人の人格が憑依したかのようなキム・ジヨン。誕生から学生時代、受験、就職、結婚、育児…彼女の人生を克明に振り返る中で、女性の人生に立…

コルソン・ホワイトヘッド『地下鉄道』(早川書房)/Colson Whitehead - Underground Railroad

2017年12月6日に日本語訳出版。 ピュリッツァー賞、全米図書賞、アーサー・C・クラーク賞受賞作アメリカ南部の農園で、苦しい生活を送る奴隷の少女コーラ。あるとき、仲間の少年に誘われて、意を決して逃亡を試みる。地下をひそかに走る鉄道に乗り、ひとに…

白取千夏雄『全身編集者』(おおかみ書房・2019)

雑誌『ガロ』の副編集長として知られる白取千夏雄の自伝。自主出版レーベル「おおかみ書房」より2019年5月20日刊行。 伝説の雑誌「ガロ」元副編集長が語り下ろした半生記・半世紀。 師・長井勝一との出会い、「ガロ」編集としての青春、「デジタルガロ」の顛…

今村昌弘『屍人荘の殺人』(創元社文庫)

*第1位『このミステリーがすごい! 2018年版』国内編 *第1位〈週刊文春〉2017年ミステリーベスト10/国内部門*第1位『2018本格ミステリ・ベスト10』国内篇*第18回本格ミステリ大賞〔小説部門〕受賞作 神紅大学ミステリ愛好会の葉村譲と会長の明智恭介…

ポール・オースター『ムーン・パレス』(新潮文庫)

人類がはじめて月を歩いた夏だった。父を知らず、母とも死別した僕は、唯一の血縁だった伯父を失う。彼は僕と世界を結ぶ絆だった。僕は絶望のあまり、人生を放棄しはじめた。やがて生活費も尽き、餓死寸前のところを友人に救われた。体力が回復すると、僕は…

津原泰水『ヒッキーヒッキーシェイク』(ハヤカワ文庫JA)

2016年5月に幻冬舎より刊行された単行本を、紆余曲折の末に早川書房が2019年6月に文庫化した小説。 「人間創りに参加してほしい。不気味の谷を越えたい」ヒキコモリ支援センター代表のカウンセラーJJは、パセリ、セージ、ローズマリー、タイムという、年齢…

カズオ・イシグロ『日の名残り』(ハヤカワepi文庫)

英国の日系人作家であり、ノーベル文学賞を受賞したカズオ・イシグロの1989年刊行の長編小説。本書で世界的に権威のある文学賞、ブッカー賞を受賞。 格ある執事の道を追求し続けてきたスティーブンスは、短い旅に出た。美しい田園風景の道すがら様々な思い出…

小笠原博毅、山本敦久『やっぱりいらない東京オリンピック』 (岩波ブックレット)を読んで

東京オリンピック・パラリンピックが抱える諸問題を徹底検証.市民がこうむる多大な負担,過度な重圧に晒されるアスリートたち,歪められるスポーツのかたち,そしてますます不自由になる社会…….「決まったものは成功させよう」という思考停止を抜け出し,…

とよ田みのる『金剛寺さんは面倒臭い』1巻以下続刊(ゲッサン少年サンデーコミックス)

このヒロインには、付け入る隙などない! 口を開けば正論!正論!正論! 金剛寺さんはいつも正しい! おまけに学業優秀&柔道の名手!隙などまったくない彼女に、樺山くんは…よりによって恋をした! 彼の運命やいかに!? 面倒臭くてまっすぐな、ロジカルピュ…

最果タヒ『星か獣になる季節』(ちくま文庫)

詩人・最果タヒによる小説。初出は『早稲田文学』2014年冬季号。2015年2月に筑摩書房より単行本として出版。2018年2月に文庫化。 地下アイドル・愛野真実の応援だけを生き甲斐にするぼくは、ある日、彼女が殺人犯だというニュースを聞く。かわいいだけで努力…

高橋源一郎『ぼくたちはこの国をこんなふうに愛することに決めた』(集英社新書)

2017年12月15日発売。 子供たちの独立国家は、本当に実現するのか?そこで浮き彫りになる、日本の現在(いま)とは?本書は、竹島問題、憲法改正、象徴天皇制などのアクチュアルなテーマを、架空の小学校を舞台に平易な言葉で論じる、一八世紀以前にヴォルテール…

山内マリコ『ここは退屈迎えに来て』(幻冬舎文庫)

山内マリコのデビュー短編集。単行本は2012年8月、文庫本は2014年4月発売。 そばにいても離れていても、私の心はいつも君を呼んでいる——。都会からUターンした30歳、結婚相談所に駆け込む親友同士、売れ残りの男子としぶしぶ寝る23歳、処女喪失に奔走する女…

高橋源一郎『恋する原発』(初出『群像』2011年11月号/河出文庫2017年3月)

高橋源一郎の長編小説。初出は『群像』2011年 11月号。同年11月17日に単行本化。2017年3月に文庫化。 大震災チャリティーAVを作ろうと奮闘する男たちの愛と冒険と魂の物語。(Amazonの商品紹介より)

黒川博行『後妻業』

「色で老人を喰う」裏稼業を描く戦慄の犯罪小説 妻に先立たれた後期高齢者の耕造は、六十九歳の小夜子と同居しはじめるが、夏の暑い日に脳梗塞で倒れ、一命を取り留めるも重体に陥る。 だか、裏で小夜子は結婚相談所を経営する前科持ちの男、柏木と結託して…